宴会。

□純真
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布団の中で小松田がもぞもぞと動いた

どうも彼は活力が有り余っているようでこうして二人で布団に入っても寝付くまで手や足を頻繁に動かすのだ

「君は落ち着きがないね」
「そうですか」
「いつも動いてる」
「ああそうですね」
「少し落ち着きなさい」

すると小松田はじっとその大きな瞳で利吉を見つめ突然吹き出した

「何かおかしいか」
「いいえ」
「ならなぜ笑うんだ」

利吉が露骨に不快そうに尋ねれば彼は首をすくめくつくつと可愛らしく笑うのだ

「利吉さんが」
「私がどうかしたか」
「いえ、何もシないんだなって」

利吉ははじめ彼が何を言っているのか理解できずに黙っていたがようやく言葉の意味に気づくと小さくああと言った

「何かすると思ったか」
「だって夜に訪ねてくるから」
「私は忙しいんだよ」
「知っています」
「だから夜に来るのは仕方ないだろう」
「そうですね」
「それでも会いに来るのだからもっと喜んでくれないか」
「嬉しいですよ」
「本当かな」
「でもそれならなおさらしたいんじゃないですか」

なかなか鋭いところをついてくるなと利吉は幼げの残る青年の顔を見る

「それはそうだね」
「しないんですか」
「君はしたいの」
「どちらでも」
「そうかい」
「でも利吉さんがしたいのなら」

小松田がそう言うと、今度は利吉が吹き出すように笑った

「君は本当に可愛いね」
「そうですか」
「でも今夜はしないよ」
「何でですか」
「君がしたくなさそうだから」
「そんなことないですよ」
「そんなことあるよ」
「どうしてですか」
「出てる」
「顔にですか」
「顔もそうだけどなんとなく雰囲気に」

笑いながら彼の髪を撫でたらそれは予想以上に柔らかくてなぜか安心感を覚えた

「そうなんですかね」
「わからないかい」
「自分では」
「まあそんなこともあるね」
「でもそうかもしれません」

小松田が柔く笑った


「僕は利吉さんといられるだけで幸せですから」


彼の言葉に一瞬きょとんとしたが利吉はすぐに満面の笑みを浮かべた

彼が純粋に自分を好いてくれることは嬉しいけれど
健全な男としてはもう少し自分に対して欲を出してほしいと利吉が密かに願っていることなど
無邪気な寝顔の青年は全く知らないのである

利吉はまっすぐに自分を見つめる小松田を強く抱きしめた

「君は本当に可愛いね」












    純真





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利こま書くのって何でこんなに難しいんだろう

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