銀次×蛮

□■言葉よりも…
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「お前ってさ。時々、オクテなのか大胆なのかわかんねぇよな?」
クスクスと鈴音のような笑い声に混じって、蛮が言った。
「迫れば赤くなるし、かと思えばこうやって押し倒してくるしよ。」
夕飯の支度をしようと立ち上がった所を、畳へと張り付けられた形になっていた蛮は、上目遣いに銀次を見つめた。
鉄拳をくらう覚悟だった銀次は、笑い出した蛮に面食らっている。
「うまく言えないけど…。」
銀次はそう前置きして、言葉を続ける。
「蛮ちゃんを見てたら好きだなって思って、思ったら触りたくなって、触ったらキスしたくなって…。」
「何だそりゃ。」
呆れたように笑う瞳が優しく見えた。
上目遣いのソレは、やけに妖艶で銀次の欲をくすぐる。
「うまく言えないけどって言ってるじゃん。」
押し倒しているのに、こうも笑われてはムードも何もあったもんじゃない。
ブーたれた銀次に、蛮がまた小さく笑った。
「まぁ…。わからなくもねぇかな?」
銀次の首に腕を回して、蛮がキスをした。
「蛮ちゃん…。」
離れるのを名残惜しむように、舌がペロリと唇をなぞる。
「あんま無茶すっと、カルボナーラ作ってやれねぇからな。」
「うんvどっちもおいしく食べる!」
「ばーか。」
悪態をつく口さえ、今は愛おしい。



大好きが溢れて、
言葉よりも早く伝えたくてキスをする。
唇から指先から、繋がった体から、
伝わっていけばいい。
早く届け。
言葉よりも確かに。
言葉よりも早く。

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