小説H

□三十万記念
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ザンザスは良く私の頭を撫でる。
犬だった頃の名残なのかしらないけど、とても頻繁に頭を撫でる。
犬の姿のときはあまりくすぐったくはないけど、人間の姿のときに撫でられると少しくすぐったい。
けど、人の姿のときに撫でるザンザスの表情が、とても柔らかくて安心するから、とてもすき。
犬の姿のときは、なんだか満足げな顔に見えるけど、人のときは、私の考えすぎかもしれないけど、なんだかとても、その、好かれている様な表情にみえるんだ。
自意識過剰かなあ。どっちでもいいけど、私はそんな表情をしているように見えるザンザスがとてもすきだから、人間のときに撫でてもらうようにしている。
ソファに座るザンザスの足に抱きつくように擦り寄れば、ザンザスが少しだけ笑って、自分の隣をトントン叩く。
許可されてからそこに座って、今度はザンザスのたくましい腕に額を押し付けると、ザンザスの腕と手が私に近付いてきて、頭を撫でられながら、引き寄せられる。
膝に座らせられて、抱き締められて、頭を撫でられて、ザンザスの心臓を聞く。

これが私の日課です。
きっと皆羨ましがるに決まってるよね。
レヴィ・・・もかもしれないけど、世界の女の人の憧れだもの。
そんなザンザスの所有物になれるなんて、私はなんて幸せなんだろう。
うっとりと、頭を撫でてくれるザンザスの手に目を細め、自然と胸に頭を寄せれば、ちゅっと頭にザンザスの唇が当たった。
わあ、ちゅーされた・・・!と、一人で恥ずかしがっていれば、ザンザスの手が、私の頭を撫でるのを止め、私の頬を撫で始めた。
されるがままにされていれば、ふいに上を向かされて、ザンザスの顔が良く見えるようになる。
ああ、かっこいいなあ、なんてのんきに考えていれば、ザンザスの形のいい唇が近付いてきて、あーちゅーされる・・・って薄く目を閉じれば、唇じゃなくて頬にちゅーされて。
少しだけ拍子抜けしていれば、ザンザスが「唇がよかったか」なんて言うから、恥ずかしくなってザンザスを睨めば、ザンザスはいつもの、あの、人間のときの私を撫でる瞳で、私を見ていたので、ますます恥ずかしくなって、彼の肩に顔を埋めた。








曖昧すぎて壊れやすくて

そんな気持ちってなんだと思います?
―――――――
ただいちゃこらしているだけっていう。
サーセン。

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