小説G

□bsr連載
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漆黒に包まれた深い森の木立の中に、きらりきらりと月に反射する刃物が目に映る。
目を凝らせば、暗闇に目が慣れてきたらしく、そのなかを掛けまわる忍びらしきものも目に入ってきた。
ああ、これがムニルさんが言ってた忍び達の交戦ね。
常人とは思えないスピードで飛び回り駆け回る忍びたちを見、私は口元をひくりと引きつらせた。
と、忍びの中に一人だけ刃物ではないものを光らせているものがいるのに気づく。
きらり、とまるで上質な絹のような輝きを放つそれに、私は思い当たるものがあった。
ひらめいてきらめく。そのうち、そのきらめきの持ち主がうめき声を上げてぐっと動かなくなる。
それを聴いた瞬間、私の脳みそは一瞬冷たくなった。

だ、っと地面を蹴る。あまりものを考えずにそのきらめいたものを持つ忍びの前まで来て、彼女を苦しめていた刃物を袂にあった火箸で思い切り打ち付けた。

「っぐあ!」

打ち付けた力が強すぎたのか、ごきっと気味の悪い音が聞こえてきて、私は眉をしかめる。
突然の私の登場に、驚き警戒したのか忍び達は私と距離を置くように後ろに下がった。
気味の悪い音は、忍びの手首が折れた音だったらしい。
距離をとった忍びの中に、悔しそうな、痛みを堪える表情とともに、ぶらりと無残にも垂れ下がった手首をもう片手で押さえているものがいた。

「っだ、誰だお前は!」
「・・・あ、」

と、私が助けた(?)背後の忍びが吼えるように言った。
高めの声は女性であることを示し、近くで見るときらめいていたものも確認できる。
そして、それが私の想像していたものであることも確認でき、私はびりびりと全身からあふれ出る興奮をそのままに肩越しにちらりと背後の忍びを見た。

「はじめまして。山賊狩りをしているものです。」
「はぁ!?」
「弱いものいじめは捨て置けない体質でして・・・思わず助太刀させていただきました。」
「なっい、いらない!そんなもの私には必要ない!」
「そうは言っても、多勢に無勢は卑怯でしょう?お手伝いしますよ。」

堀の深い顔立ちを、驚きと怒りとで染め上げたその忍び――かすがと思われる忍びに、私は困ったような笑みを浮かべた。
背中に背負った蛇惹を地面につきたて、今回のお供、火箸くんをくるんと手の内で遊ばせる。
自然と浮かぶ笑みを消さぬまま、背後の忍びに「気に食わないなら私はいないものと考えてくださってもいいですよ」と声をかけた。

「なっ・・・」
「あ。怪我しているんだったら、あまり無理はしないでくださいね。」

とってつけたように最後にそういう。
さっき見た限りでは、足や腕に散らばる小さな切り傷以外は目立った怪我は無かったが、心配しておくに越したことは無い。
とりあえず、私は手に持った火箸を片方ずつ手に持って、かちん、と一度打ち鳴らしてから忍び達に襲い掛かったのだった。











君の虹彩に捧ぐ僕の醜態

(軍神の美しきつるぎだってよ。)

―――――――
はい。上杉編入りました( ^ω^ )

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