小説G

□幸村成り代わり
1ページ/1ページ

「だーんな。」
「っ!佐助!」

布団に寝転がって読書を楽しんでいれば(楽しむって言ってもそんな面白いもんでもないけど)、音もなく現れた佐助が寝転がる私の隣にたった。
あわてて起き上がってにへらと笑えば、佐助もほほを緩めて私の頭をぽんぽん叩く。

「だいぶ良くなったみたいだねー?」
「もう完全に回復したよ!」

頭におかれた佐助の手を捕まえて、ぐっと引き寄せれば、佐助はぺたりと腰を下ろす。
それを満足そうに見て小さくうなずけば、佐助はあきれたように笑った。
と、佐助は懐に手をつっこんで、白い紙を引っ張り出した。

「ほいっ」
「ん?」
「旦那に文!独眼竜からだよ。」

ひらひらと文、手紙をひらつかせ、にい、と降格を吊り上げる佐助に、私は少しだけ目を見開く。
あ、もしかして、苦情の手紙か?!なんて、一瞬ひやっとした何かが背中をなでたけど、それに気にしないふりをして、その手紙を受け取る。
かさりと乾いた音とともに手紙を開けば、そこには堂々とした字で簡潔に文字がつづられていた。

《Hello!具合はどうだ?
よくなったって聞いて早速letter書いたぜ!
ああそれと、急いでくる必要はねえ!じっくり体を休ませて来るこった!
甘味が好きみてえだしな!ずんだもちを用意して待ってるぜ?
see you soon!

by 奥州筆頭 伊達政宗》

「・・・・・。」
「それさあ。一応俺様が中身確認したんだけど、わかんない文がところどころあってさ!旦那、解読できる?」
「・・・う、うー、う、うふふ?」
「・・・笑ってごまかしてる?」
「・・・うん。」
「・・・はあ。」

がくり、と肩を落とす佐助。さすがに、はっきり英語がわかるとはいえないので、笑ってごまかしたけど・・・バレバレですよねーうん知ってた。
とりあえず、その手紙を折りたたみ、枕元におく。
と、それを見届けた佐助がさっさと部屋から出て行ってしまいそうになったので、私はあわてて呼び止めた。

「佐助!この後、まだ仕事あるの?」
「ん?あとは旦那の見張りくらいかな?」
「・・・見張りってどういうこと?」
「旦那が部屋から逃げ出さないか心配だからねー!」
「逃げませんよ!私のことなんだと思ってるのさ!・・・まあ、それってほかに何もないってことでしょ?」
「うん、まあね。」
「あー、うー、じ、じゃあさ!」

ここにいてくれない?と、その一言が何故か言えなくて、佐助に向いていた視線が下に落ちる。
ひざの上で布団をいじくる指を見つけて、弄くったせいでしわだらけになった布団をなでる。
結局、口から出ることはなく、やっぱりなんでもないよと佐助に言おうと顔を上げたところで、私はまた口をつぐむ。
佐助が、にやにや笑っていた。

「・・・・なに笑ってんの。」
「いや?旦那もまだまだガキんちょだなーと思ってねー?」
「しっ、失礼だな!あれだよ!風邪引くと人肌恋しくなるって言うか!」
「そっかそっか、俺様が恋しかったのねー!」
「うう、ば、ち、ちがうし!あーもー馬鹿あ!」

楽しそうに笑う佐助に、無駄に言いよどんでいた私が恥ずかしくなってしまって、思わず布団に顔をうずめる。
そうすれば、佐助は私の髪をかき混ぜるようにくしゃくしゃ撫で回して、けらけら笑った。

「じゃあ旦那、話でもしようか?」
「・・・・・・うん。」
「ははっ、ほら、顔を上げて旦那?」

佐助のなだめるような声に、また、悔しくなって、けど胸の奥がくすぐったくなって。
唇を尖らせながら、私は布団から顔を上げた。







この鈍痛がわたしを殺す

(最近なんだか胸の奥が変なんだけどな。)

―――――
あれ?なんか急展開?ちょっとはやくね?(焦)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ