小説J

□叢時雨様からもらい物!
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夏と言えば・・・

「素麺だろ!」

ロキは自信満々に言い放った。

「・・・何故素麺?」

トールは怪訝そうな顔で尋ね返した。
普通ならば夏と言えば海とか、花火とか、夏休みとかが挙がるはずだ。
まあ、そう決め付けるのも駄目だと思うが、でも何故素麺?

「そんなの決まってるだろ!素麺は夏に食べる物だ。冬なんかに食べたりしないだろ?」

それもそうだが、だったらスイカとかかき氷も挙げられるだろう。

「それに、俺は素麺が好きだからだ!!」
「あー、それが理由か。」

うん、なんか納得した。
トールは、一人納得しているとロキが素麺について語り出した。

「素麺はやっぱりいいよな!」
「素麺ですか・・・」

突然、後ろから声がかけられた。
振り向くと、ヘイムダルがそこに居た。

「ヘイムダル!お前、何処から湧いて出てきたんだよ!」
「失礼な人ですね。ただ通り掛かっただけですよ。」

なにやらまた喧嘩が始まりそうなので、取り敢えず間に割って入った。

「そう言えば、なにか用があったんじゃないか?」
「いえ、ただロキさんに言いたい事があるだけです。」
「ロキに?」
「なんだよ、どうせ大した事じゃないんだろ?」

ロキはヘイムダルを睨みつけながら言い放った。
ヘイムダルは、そのロキに歩み寄って言った。

「素麺なんか邪道だと言いたいんですよ。」
「は?!」

ロキはヘイムダルの言葉に驚愕した。

「素麺より、冷や麦の方が美味しいではありませんか!」
「なんだと!素麺を侮辱するのか!大体、冷や麦なんかただのうどんの細いバージョンじゃないか!」
「それを言うなら素麺なんて細すぎて食べごたえがないじゃありませんか!」
「その細いのがいいんだよ!」
「待て!落ち着け!」

やっと仲裁に入れたトールは、二人を黙らせる事が出来た。
二人はまだなにか言いたそうだったが、とりあえず大人しくなった。

「素麺と冷や麦なんてどっちも同じ物だろ?争う必要はないんじゃ・・・」
同じじゃない!

同時に同じ事を言われて驚く。
こいつら、息ピッタリすぎる・・・

「素麺は冷や麦よりうまいんだ!」
「それを言うなら冷や麦は素麺より美味しいんですよ!」
「・・・うーん」

イマイチ素麺と冷や麦の違いが分かっていないトール。
「(胃の中に入ったらどっちも同じじゃないのか?)」
「トール!お前は素麺と冷や麦どっちが好きなんだ!?」
「え?」

突然そんなことを言われても分からない。

「勿論素麺だよなぁ、トール。」
「冷や麦ですよね、トールさん。」
「いや、そんなことを言われても・・・」

二人から異様な程の圧力がかかってきている気が・・・
トールは、散々考えた結果こう言った。

「素麺とか冷や麦とかよりも、冷し中華が好きだなぁなんて・・・」

トールは、二人とも納得出来るような答えを出したつもりだが、そうではなかったようだ。

「トールさん、あなたと言う人は・・・」
「見損なったぜ、トール・・・」
「え?は?」

戸惑うトールをよそに、二人はなにやら相談を始めた。

「てめぇと組むのは嫌だけど、ここは協力した方がよさそうだな。」
「私も虫ずが走る程嫌ですけど、そうも言っていられませんね。」

すると、二人はトールに向き直り言った。

「乾麺の良さを教えてやろうじゃないか。」
「中華麺なんかよりも、美味しいと言うこと教えてあげます。」
「だから、どうしてこうなった!」

二人は、トールが納得するまで乾麺の良さを語っていたと言う。

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