小説J

□雨音24
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しゃりしゃりと首元の小さな蛇惹をいじりながら、私は戦場で杖を振るった。
傍らではアダルバートが、もう傍らではルシウスが、そして、私の背後にはヴォルデモート卿がいる。
一人、また一人と敵が消えていくのと同時に、私たちの見方である死喰い人も消えていく。
けれど問題はない。弱者は邪魔にしかならないから。

そろそろ敵の数も減り始め、敵が撤退を始めた頃。私はようやく出番だとばかりにくるりとヴォルデモート卿を振り返る。
手に握った蛇惹。早く開放し、彼のために戦いたくてしょうがない。
そんな私を理解しているヴォルデモート卿は、にい、と口角を吊り上げ、一言、「行っておいで」とささやいた。

「レリーズ!」

口にすると同時に走り出す。
目指すのは私たちに背を向けながらも攻撃や防御魔法を放ってくる闇払いたち。封印開放の言葉に反応した蛇惹が一瞬光をおび、瞬きの後にはその質感は手にあった。
ざわざわざわ。胸のうちがざわめく。興奮。感情が高ぶって、私は無意識のうちに目を見開いて笑っていた。
敵は一匹たりとも逃がしてはいけない。獲物は必ずしとめねばならない。

「あは、ははっ!」

なぜだか楽しくて、私は笑った。
蛇惹を握って敵を追いかけることがとても楽しく思えて、私は笑った。
ダンッと地面を思い切りける。面白いくらいに、私の体は宙を舞い、ビュオッ、と風を浴びて地面に降り立った。あっという間に、追いかけていたはずの闇払いを追い越す。
自分たちの目の前に降り立った私を見て、闇払いたちは、息を呑んだ。

「ば、ッ!」

化け物め!
いい加減、そのありきたりな罵倒も聞き飽きたよ。もっとひねりのある悪口いえないの?
口にこそ出さなかったものの、呆れた色を瞳に宿して、私は蛇惹をがしゃんっと肩に担いだ。

「化け物の何が悪いの。」

私は、“化け物”の力のおかげであの人のそばにいる。あの人を守れる。あの人と戦える。
そんな私の誇りを、大切なものを馬鹿にして。さ。

「あんたらに言われたくないよ。」










きみのどうしてを殺傷

(私の大切なものを罵倒するなら全員死ねばいいんだ!)

―――――

・・・あれ?主人公こんな性格だっけ?
違う気がします。まあいいか。

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