小説J

□幸村成代り
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「旦那ー、起きた起きた!そろそろ朝餉だってよ!」
「ん、む、ん、・・・ん?」

ゆさゆさと肩を揺さぶられ、重い目を少しだけこじ開ける。
佐助が面倒くさそうな顔をしながら私の顔を覗き込んでいたので、なんだよ佐助か・・・と内心でつぶやきながら布団に顔をうずめた。
けど、うずめた布団から香る匂いがいつものものとは違って、私はふと顔を上げる。
どうしたのと不思議そうな顔をする佐助に、私は昨日のことを思い出して納得した。

「そっか、私、政宗殿のところにきていたんだっけ。」
「そうだよ。忘れてたの?」
「んー・・・うん、ちょっと。」
「あ、そ。」

目は覚めた?と、私から布団を取り上げながらたずねる佐助に、私はむくっと頬を膨らませて彼の腰に腕を巻きつける。
うおっと声を上げる彼を無視して、私はぐいぐいと佐助の腰を引っ張った。

「もーっと寝たいよーう!」
「何わがまま言ってんの旦那!だめに決まってるでしょ!」
「わかってるけどー、もう布団かたしちゃうのー?」
「いつまでも敷いてたら片付かないからねー。」
「やだよー朝餉食べ終わってからまた寝たいよー!」
「どんだけぐーたらしたいのあんた・・・」

ずるずると、腰を引っ張る私を物ともせずに動きまわる佐助に、私は引き摺られながら文句をたれる。
彼の腰に顔をうずめれば、彼の香りが肺にいっぱい入ってきて、私は思わず、ほっと息をついた。

「ねえ佐助。」
「ん?」
「・・・佐助、いいにおい。」
「え。」

私の言葉に驚いたのか、佐助はびしりと動きを止めた。
私はそれをいいことに、彼の腰をくんっと引っ張って、強制的に私の前に座らせて、ぎゅう、と背中に抱きつく。
あったかくていいにおい。なんだかすごく、満たされる。
頬擦りして、額をこすりつけて、ぎゅうう、とすがり付けば、佐助は息を止めた。けどすぐに、体の向きを変えて私のほうを向き、頭をわしゃわしゃなでながら、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。

「・・・。」
「なにさ旦那。甲斐が恋しくなったわけ?」
「・・・別に。」
「じゃあ大将が恋しくなったの?」
「・・・違うもん。」
「なら、朝っぱらからどうしたのさ?」
「・・・わかんない。」
「ふーん?」

まあいいけど。
そういった佐助が、少しだけ笑いながら、自分の胸に私の顔を押し当ててくれたので、私は遠慮なく、胡坐をかいた彼のひざの間に座って、佐助と密着した。










ホームシックもどき

(匂いが違うからちょっと不安になっただけ。)

―――――――――
佐助の腰でもふもふしたいお( ^ω^ )

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