戦国カレイドスコープ

□第2話
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数分後、佐助さんの「終わったよー」と言う声に再び部屋のドアを開けると想像以上に素晴らしい光景が広がっていた。

「「………………」」
「Hey girls?どうしたぽかんとして…Enjoy looking at us?(俺達に見とれてんのか?)」
「あ、まあそんな所です…」
「Ha!正直な奴は嫌いじゃないぜ♪」

そう言って私の頭をぐしゃぐしゃになる位撫で回す政宗さんが着ているのは深い蒼の生地に銀色の糸でハクリューが刺繍された着物に黒い帯。

「ちょ、止めて下さい!私頭撫でられて無条件で喜ぶ程子供じゃありません!」
「…How old are you?」
「I'm 18years old.」
「18歳?!俺の一つ下かよ!!」
「では千歳殿は某の一つ上でござるな!」

会話に混ざってきた幸村さんはガーディをイメージして作った紅い生地に黒いラインの入った着物とややクリーム色に近い白の帯を着ている。

「キョウカで良いですよ、普段名字で呼ばれないので何か落ち着きません」
「良いよ。でも、その代わり鏡華ちゃんも敬語無しね」
「え!な、何でですか?!」
「だって俺様達これから暫く鏡華ちゃんの世話になるし」

ヤミカラスをイメージした黒い生地の着物に臙脂(えんじ)色の帯を着ているのは佐助さんだ。

「猿飛の言う事にも一理あるな。こっちの世界じゃ右も左も分からなくてお前だけが頼りになるんだ、そんな奴に敬語を使われちゃ気が引けちまう」

小十郎さんは精悍だし政宗さんの部下だって言うから同じドラゴンタイプをイメージした着物にしようとしたんだけど…うん…何か…ね?ピンと来なかったんだよ。
それで気が付いたら何故かカモネギをイメージして作った茶色い着物に緑と白でグラデーションになってる帯を手渡してました。
これで違和感無いんだから不思議だわ。

「小十郎さんまで…。分かりまし「ほら、敬語。」〜っ!分かった!分かったわよ!!敬語無しにすれば良いんでしょ、どうこれで満足?!」
「Good!」
「じゃあ次は武器ね。エリカちゃん、ジムのパソコン貸してよ」
「はい」

ジムのパソコンを起動させエンジュシティにある実家のアイテム預かりシステムに繋ぐ。
当然、いきなり武器なんか転送されてきたら驚くだろうから実家には既に事情を説明済みだ。
試しに佐助のくないを転送してみると…

「良かった、成功だわ!さぁ、他のもどんどん転送するわよ!!」

武器一式や鎧を全て転送し終わった後、私の服も向こうから転送してもらった。
そう、実は私も今着物なのである。
元々エリカちゃんに着物を届け、デパートでの打ち合わせが終了したらリニアで日帰りの予定だった私は『チトセ屋』の跡取り娘として俗に言う『それなりの格好』をしてこちらに来た。
しかし…彼らを連れて行くとなるとリニアは使えない。
リニアを使うには定期券が要る。

「一回リニアを使う為に定期券を四枚新しく発行する位なら日にち掛かってもアクア号のチケット買った方が安いっ!!」
『キョウカ…拳握り締めてまで力説する事か…?』
「煩いクロツキ」

あんた何年私(と書いて商人の娘と読む)の相棒やってんのよ!こうなる事位分かるでしょ!!

「えと…要するに…最短の移動手段がかなり手間が掛かる上に高価な代物だから多少時間が掛かっても簡単で安い方にしたいって事?」
「うん」

…あ、そうだ。
皆に着替えも用意しないと…着たきりじゃ可哀想だし。
こういう事は…あいつに連絡した方が良いかな。
そう思った次の瞬間には既にポケギアの電話機能を起動させていた。

「あ、もしもし?久しぶり…」
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