戦国カレイドスコープ

□第3話
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「“リーフストーム”!」
「“リーフブレード”で叩き落としてそのまま攻撃よ!」

ナッシーから飛ばされる大量の鋭い葉を“リーフブレード”で叩き落とし、その勢いのまま斬りかかる。
同じ草タイプだから効果は今ひとつだけど取り敢えずダメージを与える事には成功した。

「…やっぱ素早さじゃリーフィアにはかなわねーな…ナッシー!『しろいハーブ』でとくこうを回復してから“トリックルーム”だ!!」
「何事でござろうか?ぐりーんのぽけもんの動きが急に早くなったでござる…」「あれは“トリックルーム”と言って素早さの低いポケモンの方が先に行動出来るようになる技じゃ」
「へぇ、ぽけもんってそんな事も出来るんだ」
「続けて“サイコキネシス”!」
『きゃあっ!』
「っ、ジュリ!!」

“サイコキネシス”で宙に浮いたジュリが地面に投げつけられる。が、辛うじて立ち上がった。

「ジュリ、大丈夫?!」
『うん…まだ行けるよ…!』

“トリックルーム”の効果はまだ暫く続く。
その間はナッシーの方が行動が早い上にリーフィアは元々とくぼうが低い種族だから…多分もう一回“サイコキネシス”を食らったら終わり。
この状況を打破する方法はあるにはあるけど成功するかは一か八かの賭けになる。
でも…

「やってみなくちゃ分からないってね…ジュリ!“にほんばれ”!!」
『りょーかいっ!』

技を発動させた途端、日差しが強さを増した。

「“こうごうせい”で回復して!」
「させるかよっ!ナッシー、もう一度“サイコキネシス”だ!!」
『おうっ!』
「避けて、ジュリ!」

間一髪、ジュリはナッシーの“サイコキネシス”が届く寸前で回復を終えて飛び退く事が出来た。
…どうやら、賭けは私の勝ちらしい。

「何で…今は俺のナッシーの方が素早い筈なのに…?



…っ!そうか、その為の“にほんばれ”か!!」
「今更気付いても遅いわよ!ジュリ、ナッシーの背後に回り込んで“シザークロス”!!」
『任せてっ!』
『うわっ!?』

虫タイプの技でも五本の指に入る威力を持つ“シザークロス”。
草とエスパー…虫タイプを苦手とするタイプを二ついっぺんに持っているナッシーはそれを背後からモロに食らい、地面に倒れ込んだ。

「ナッシー、戦闘不能!よって勝者はエンジュシティのキョウカ!!」
「Wonderful!すげぇぜ鏡華!!」
「まさかあの状況から逆転するとは…!」
『キョウカちゃ〜ん♪あたし勝ったよ〜!』
「良くやったわジュリ!」
『すまねえグリーン…』
「お前は頑張ったよ、ゆっくり休んでくれ」

ボールにナッシーを戻したグリーンが此方に歩み寄って来る。

「やられたよ、まさか“トリックルーム”とナッシーの特性を逆に利用するとはな」
「一か八かだったけどね」
ナッシーの特性は日差しが強い時に素早さが2倍になる“ようりょくそ”。
“にほんばれ”で日差しが強くなった事によって“こうごうせい”での回復量も増える上に2倍になったナッシーの素早さが樹莉のそれを上回れば“トリックルーム”の効果で樹莉の方が早く動けるようになる…と、これが一か八かの賭けの正体である。

「それにグリーンがナッシーを鍛えてくれてたお陰だよ、幾ら日差しを強くしても2倍になった素早さがジュリを上回ってなければ意味無いし」
「その時置かれた状況によって戦術を変える…『万華鏡』は未だ健在ってか?」
「ま、そういう事にしといて」
「我が儘言って悪かったな。…有難う、キョウカ…」
「此方こそ、楽しいバトルだったわ」

お互いに笑顔で握手をする頃、陽はやや傾き始めていた。
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