戦国カレイドスコープ

□第6話
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群れのリーダーが進化した事によって勢い付いたミツハニー達。
このままクチバシティまで走っても良いが、それだと街の人達も巻き込む恐れがある。

「逃げてばかりもいられないってか…しょーがない、コウラン!ライネ!出番だよ!!」
『任せとけ!』
『よっしゃあ!バトルだバトルー!!』
『小癪な…!者共、掛かれっ!!』

ビークインの掛け声で彼女の背後にいた大勢のミツハニーがこちらに向かって突撃して来た。

「ちっ、“こうげきしれい”か…コウラン、“ねっぷう”!ライネは“ほうでん”!!」
『おう!』
『食らえっ!!』

コウランとライネ、それぞれから放たれる高温の風と高圧の電流。
炎と電気、両方のタイプを苦手とするミツハニーにこの技は効果抜群…なのだが流石にこの大群を一度で仕留める事は出来ないようで、攻撃をモロに食らい脱落していく仲間達の間を縫って次々と別のミツハニーがこちらに向かって来る。

「うわ、これじゃきりが無いよ!どうするの鏡華ちゃん?!」
「まずはあの群れのLeaderをどうにかしなきゃならねぇな…だろ?」
「まあね…」

でもコウランの技もライネの技も広範囲向けでピンポイント攻撃出来ないからなー…駄目元で攻撃してもビークインがミツハニー達に“ぼうぎょしれい”を指示して自分へのダメージを少なくする可能性もあるし。
えーっと…ミツハニーとビークインは虫と飛行タイプだから苦手なのは炎と電気と…

「…あ」
「どうした?」

そーいやいたわ、こいつらに苦手タイプでピンポイント攻撃出来る子。

「この状況…どうにかなるかも」
「誠でござるか!?」
「コウラン!ライネ!もう一度“ねっぷう”と“ほうでん”!!ビークインの周りにだけ集中攻撃して!!」
『『了解!!』』

直撃した者、間一髪避けた者…結果は違えどビークインの周りを守る様に囲んでいたミツハニー達は散り散りになり、彼女は無防備に近い状態になった。
その隙を付いてもう一つ、ボールを投げる。

「…今だ!ミナミ、ビークインに“れいとうビーム”!!」
『は、はいっ!』

ボールから出て即、ミナミから放たれた“れいとうビーム”はビークインを直撃し…彼女は見る見るうちに氷に包まれてゴトリと地面に落ちた。

「た…助かったぁ…!」
「これで次の街に行けるな」
「ううん、まだだよ」
「Why?」

質問してきた政宗をスルーして氷漬けになったビークインとそれを心配そうに取り囲むミツハニー達に近付くと悲しみに暮れる彼らの声がポケリンガルを通して聴こえてきた。

『女王様凍っちゃった…』
『女王様ぁ…!』
「ちょっと待っててね、今“なんでもなおし”使うから」

旅用の鞄から“なんでもなおし”を取り出し、使用する。すぐに氷状態は回復し、ビークインは元通りになった。

『何故妾を助けた…?お前達を襲ったのに…』
「元はと言えば此方に非があるから。ほら幸村、ココア。ビークインとミツハニー達にちゃんと謝りなさい」

「勝手に貴公らの食料を食べてしまった…すまなかったでござる!」
『ごめんなさい…』
「これ私の作ったポフィンやポロック、あと甘い味の強い木の実も幾つかあげるわ。これが“あまいミツ”の代わりになるとは思わないけど…お詫びの印に受け取ってもらえないかな?」
『否、これで充分じゃ。感謝するぞ人間の娘よ。…者共!戻るぞ!!』

満足したビークインは群れを引き連れ、再び木々の中に消えて行った。
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