Trip×とりっぷ×トリップ!

□第1話
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「おい、音々」

え、何で僕の名前知ってるの?名乗ってないよ??

「だって俺神だし?それ位知ってるっつーの」

心読まれた?!何者ですかアナタ!!

「だからMZD様だっつーの。お前今歌おうとしてた曲のタイトル頭の中で言ってみ」
「へ?何で??」
「いいからさっさとやれ」

何かカチンと来たけど後で美琴にボコってもらおうと心に決め、頭の中で今さっき入力しようとしてた曲を思い浮かべた。

「よし、その曲だな」

そう言うと指をパチンと鳴らした。すると…

…えーと?やっぱり僕ライブではしゃぎ過ぎて疲れてるのかな?
リモコンが宙に浮いているように見えるんですが。

宙に浮いたリモコンが機械に勝手に番号を入力していく。

〜♪

少し経つと僕が歌おうとしていた曲が部屋の中に流れ出す。

「…嘘…」

僕はありえない、と掠れた声で呟きながらカラオケ画面を凝視する。美琴も優歌も同様だ。

「どうだ?お望みとあらばこんな事もできるぜ?」

僕達の反応がお気に召したのか自称MZDは満足そうに笑う。
そして彼が再び指をパチンと鳴らすと今度は眩しい光が部屋中を包みこみ、思わず閉じた目を開けると先程までいなかった長身の若い男の人が立っていた。
MZDと同じデザインの服を着て。

「どーよ?これで信じる気になったか?」

…信じられない。
でも目の前で起きているのは紛れもない事実。
こんな無茶苦茶な事ができるのはきっと神様だけ。
だから彼は本物のMZDなんだろう。

「…分かった、少なくともあなたが人外だって事は認める。百歩譲って貴方が本物のMZDだとしましょう?私達に何の用なの?」
「百歩譲ってかよ…ま、いいや。世界ってのはいくつかあってな、お互いに何かしらの形で影響しあってる。俺達の世界がこっちの世界じゃゲームって事になってる様にこっちの世界も俺達の世界では漫画って形で存在してるんだ。ちなみに主人公はお前らな」
「え?僕達が主人公?!」
「で、俺は時々異世界からも参加者を連れてきてポップンパーティーって音楽祭を開いてる。優歌が知ってる奴ならジャックがいい例だな」
「うんうん!」
「…それで?本題が全く見えないんだけど。用件だけ簡潔に述べてくれない?」
「せっかちな奴だな。じゃあ本題を言わせてもらうぜ。





…喜べ、お前らを次のポップンパーティーの参加者として招待してやる」

………………はい?

本日何回目かも分からなくなってきた思考停止。
それに構わずMZDは話を続ける。

「さっきも言っただろ?お前らの世界は俺達の世界では漫画として存在している。しかもアニメ化される位人気の作品だ。今度のパーティーではそのアニメの曲も出したいと思ってな、そこで主人公であるお前らに声を掛けたって訳だ」
「面白そう!アタシ行きたい!生でポップンのキャラに会えるもん!!美琴と音々は?」
「…僕も行ってみたいな。だって神様に僕達の音楽が気に入られるなんて凄い事だし」
「二人が良いなら私も良いけど…一つ質問しても構わないかしら?」
「何だ?」
「向こうの世界に行ってもちゃんとこっちに帰って来れるんでしょうね?」

………………あ。

「決まりだな。じゃ、行くぞ」
「え?美琴の質問無視??っていうかもう行くの?!」
「善は急げって言うしな。それに元々お前らに拒否権は無かったんだぜ?渋ったら無理矢理にでも連れて行くつもりだった」
「そうなの?!」
だって俺神だし?神の決めた事は絶対って事で」
貴方何でもそれで片付くと思ったら大間違いよ?
「いいから行くぞ!」

その声と共に僕達は眩しい光に包まれ、カラオケルームから姿を消した。

お父さん…お母さん…

ごめんなさい、もしかしたら二人の娘は人生の選択間違ったかもしれません。




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