Trip×とりっぷ×トリップ!

□第2話
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「良い天気ッスねー。洗濯物干すには最高ッス」
「ヒッヒッヒ。アッシュは相変わらず考え方が主婦だネェ」
「余計なお世話ッス。スマイルも見てないで手伝うッス!」
「嫌だヨー!僕これからギャンブラーZの鑑賞会するんだから」
「うるさいぞお前達。久々のオフなのだからもう少し静かに出来んのか」
「ヒッヒッヒ。ユーリに怒られちゃったネ、アッシュ?」
「誰のせいだと思ってるんッスか!?」
「お前達、私の話を聞いていたのか…?」

今まさに私が二人に説教をしようとしたその時だ。

『よー!お前ら元気かー?』

MZDの声がした。

「この声…MZDッスか?」
「でも姿が見えないカラ多分テレパシーだネ」
「一体何の用だ。こちらは久々のオフをお前の声に邪魔されてひどく機嫌が悪いのだが?」
『まぁ、そんなカリカリすんなよユーリ♪ちょっとお前らに頼みがあってな』
「頼み?」
『そ。実はさ、今他の世界から今度のパーティーの参加者用に新入り連れて来たんだよ。お前らも知ってるだろ?『生演奏、始めました』って作品の主人公三人組』
「ヘェー!彼女達を呼んだんダ!!」
「それで?その三人と私達に何の関係があるのだ?」
『いやぁ実は運んでる途中でな、お前らの城の真上で一人落としちまった

………………………

「「「何ぃぃぃぃぃぃぃ?!」」」
『ま、そう言う訳だから何とかして助けてやってくれ。以上』
「いや、何とかって言われても!」
『あ、それから助けたら俺の家に連れて来いよ。俺は他の二人運ばなきゃなんねーから。じゃ頼んだぜ♪』

それっきりMZDの声は聞こえなくなる。

「「「(あの神用件だけ伝えてさっさとテレパシー切りやがった…!)」」」
「…どうするッスかユーリ」
「どうするも何も…助けるしかなかろう」
「ねぇ、ユーリにアッシュ」
「…?どうしたスマイル?」
「今MZDが言ってた子って…彼女じゃナイ?」

上を見上げれば…

「キャアアアアアッッッッ!!!」
「うわ!もうかなり下に来てるッスよ!?」
「仕方がない…アッシュ!スマイル!私が飛んで彼女を助けるからお前達は万が一私が助け損ねた時の為に準備しておけ!!」
「分かったッス!ほらスマイル、このシーツ一緒に広げるッスよ!!」
「また汚れちゃうヨ?」
「シーツなんてまた洗えば良いッス!それに人の命には変えられないッスよ!!」
「ヒヒヒッ、りょーかーイ♪」





普通の女の子なら『もう駄目だ』とか思いながら気絶するんでしょうね。
でも私は…

MZDの馬鹿ー!!絶対許さないんだからー!!絶対化けて出てやるー!!

思い切りMZDへの罵詈雑言を吐きまくっているなう。否、もうあんなんバ神でいいや。馬鹿な神でバ神。

「異世界に来て早々墜落死なんて最悪…。下に建物が見えるからきっとアレにぶつかってトマトみたいにグチャグチャに…17年か…短い人生だったわね…」

なんて何げにグロい事を想像しながら落ち続ける私。
建物がはっきりと見える様になってこれまでだと思い瞳を閉じる。
でも叩き付けられる感覚はいつまで経っても来ない。
それどころか落ちていく感覚も消えていて一体何が起きたのだろうと恐る恐る閉じた瞳を開く。
するとそこには…

「何とか間に合ったな。大丈夫か?」

銀髪の素敵なヴァンパイアが私をお姫様抱っこしながら羽ばたいていらっしゃいました。

って言うか…
近い!顔超近い!!
こんな近くに男の人の顔があるなんてうちの父さんと音々のお兄さん達以外経験無いから思わず意識してしまう。

「あ、ありがとう…私美琴。あなたは?」
「私はユーリだ。ようこそ、ポップンミュージックの世界へ」

ユーリって確か…Deuilのボーカルよね?妖怪バンドの。
何時だったか優歌がポップンのキャラについて熱く語っていた時に何度か名前を聞いた事がある。

「ユーリ…本当にありがとう。貴方は命の恩人だわ」
「いや、礼を言われる程の事ではない。それにMZDにお前を助ける様にたった今連絡を受けたばかりなのだ」

MZD。
その名前を聞いた瞬間にまた私の中で怒りが沸々と沸き上がる。

「へぇ…あのバ神がねぇ…?自分で落としておいて助けにも来ないの…?」
「とりあえずまずは下に降りよう。話はそれからだ」

ユーリにお姫様抱っこされたまま地上に降りればそこには安堵の表情を浮かべた緑髪に獣耳の青年と包帯だらけの青髪の男。
確か彼らもDeuilの…

「お帰りユーリ、お疲れサマ。うわァ、本物の美琴ちゃんダー」
「大丈夫ッスか!どこか怪我とかしてないッスか!?」
「心配してくれてありがとう。ユーリが助けてくれたから何ともないわ。あの、あなた達は?」
「あ、俺はアッシュって言うッス」
「僕はスマイル、ヨロシクね。僕『生はじ』がギャンブラーZの次に好きだから美琴ちゃんに会えて嬉しいヨ!」

あーそうだ、アッシュとスマイル…ってちょっと待って。

「…『生はじ』って何?」
「あれ?MZDから聞いてナイ??君達の世界がこっちの世界で漫画になった時のタイトル。『生演奏、始めました』略して『生はじ』」

え、そんなタイトルになってるの私達の生活。

「…まあいいわ。で、さっきMZDに頼まれたって言ってたけどどういう事?」
「MZDに君を僕達のお城の真上で落としたから代わりに助けてくれって頼まれたんダ」
「それから助けたら自分の家に連れてくる様にも言ってたッス」
「そう…じゃあ今すぐ連れて行ってもらっても構わないかしら?」
「勿論だが…どうした?その…顔が…ものすごい事になっているぞ??」
「あら、何でもないわ。ただ…
あのバ神にどうやってお返しをしてやろうかと思って

極上の笑顔で答えたのに何故か三人はどことなく脅えた表情で私を見ている。
まぁどうでもいいわ。今の私の頭の中はあのバ神に復讐する事で一杯。

「見てなさいよMZD…うふふふふふ…」




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