Trip×とりっぷ×トリップ!

□第1話
1ページ/2ページ

あー…確かこの辺だったか?
最近こっちの世界顔出さなかったから地理全然分からねーや。
でもあいつら連れて帰らないと盛り上がる物も盛り上がらないしな…
…お、いたいた。

俺が見下ろしている先には学校の中に建てられた体育館。
そのステージ上には『新入生歓迎会』の看板の下に立ち、歓声を浴びている三人の少女。
本当なら六人まとめて連れて行きたい所だがやっぱあの三人だけ『招待』するのが妥当だろうな。
何たって『この世界』の主人公は彼女達三人なんだ。

「…みーつけた♪」










「それじゃあ」
「新入生歓迎ライブの」
「成功を祝って」
「「かんぱーーーーいっ!!」」

僕音々!ただ今幼馴染みの美琴、優歌の二人と組んでいるバンドでやったライブの打ち上げ中なんだ。
『Bride』って言ってね。結構地元じゃ有名なんだよ?
本当は僕の兄さん達と優歌の妹もメンバーなんだけど学校とか仕事があって今回は参加出来なかったんだよね。

「それにしても上手くいって良かったね!」
「うん!すっごく楽しかった!やっぱこの三人サイコー!!」
「優歌、そこは六人にしとかないと奏さんと響さんと詠理ちゃんに万が一バレた時皆が拗ねるわよ。特に詠理ちゃん」
「バレなきゃ大丈夫!」

この子は優歌。
バンドのギターと女性ボーカル担当で背が低くって可愛いんだ!…ま、本人に言ったら怒るんだけどね。
ちなみに妹は詠理って言ってパーカッションをやってる。

「…はいはい。でもライブであれだけ歌っておいて打ち上げがカラオケってどうなの?」

彼女は美琴。
キーボード担当の美人さんで声も低くて超格好良いの!女子生徒のファンクラブがあるくらいすごい人気なんだ。
ちなみに僕はドラム担当。
あと兄さん達は奏と響って名前で奏兄さんが男性ボーカル、響兄さんがベースをやっている。

「うーん確かに…まあ、歌うのは好きだからいいけどさ」
「ねぇ、この後どこ行く?アタシゲーセン行きたい!」
「いいけど…またポップン?」
「うん!」
「よく飽きないわね…私、あのボタン叩きの何が楽しいのか未だに分からないわ」

ポップンて言うのは最近優歌がハマっている音楽ゲーム『ポップンミュージック』の事。
優歌曰く、面白いし何よりキャラが可愛いとか。
最近じゃかなりやりこんでて9ボタンのEX譜面…?とかいう何だか難しいのに挑戦している。
僕も優歌に誘われて何回かやったけど5ボタンで手一杯だったしオリジナルは叩かないで全部知ってる版権の曲だったからキャラなんて正直『ミミ』と『ニャミ』位しか分からない。

「…いつか絶対ハマらせてやる…歌うだけ歌ったらさっさとゲーセン行こ!」

予定も決まって僕達が順番に曲を入れようとしたその時だった。

「あー、お嬢さん達ちょっといいか?」

そんな声が聴こえて声のした方を見つめれば視線の先にいたのは…

最初は何かの見間違いだと思ったけど他の二人も僕と同じように固まってる。
僕の記憶が正しければ確か彼はポップンに出てくる…

「…MZD?」

そう。
そこにいたのは帽子にグラサン、茶髪に短パン。
間違いなくポップンのキャラにして神様のMZDにそっくりな少年だった。

「MZDだ!うわそっくり!!」
「本当、一瞬ゲーム画面から出てきたのかと思った」
「って言うか部屋間違えてない?ここ私達が使ってるのよ」
「残念ながらそっくりさんでもないし部屋間違いでもねーよ。俺は本物のMZDだ」
「「「…………………………」」」
「…えーと、あなた頭は「いきなり失礼な奴だなオイ
「突然目の前にゲームのキャラが現れて『俺は本人だ』なんて言われれば誰だって頭疑うわよ」
「それもそっか。よし、それじゃあ証拠を見せてやるよ」

そう言うと自称NZDは不敵に笑った。
ちなみに優歌はまだ「きゃー!俺様可愛いー!!」って叫んでる。
…おーい、そろそろ帰っておいでー…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ