Trip×とりっぷ×トリップ!
□第2話
1ページ/2ページ
トリップなんてファンタジー物のゲームや小説の中だけの話だと思ってた。
でも現にアタシ達は今MZDに連れられてポップンの世界に移動中。
正直未だに信じられないがトリップする時どさくさに紛れてMZDに抱きつけたから良しとする!もし無事元の世界に帰れたら詠理に思いっきり自慢してやろう!!
それにしても…
「はーやーく行ーきーたーいー、ポップンワールドー♪」
「何でお正月の替え歌なんだよ」
「気分」
うん、ぶっちゃけかなり暇。
もうどれ位変な空間漂ってるんだろうか?いい加減飽きてきた。
ちなみにアタシはMZDの体に抱き付いていて美琴は手繋ぎ、音々は背中から首に腕巻き付けてる状態だ。
美琴はちょっと羨ましいがそれよりMZDの首が心配である。
「心配無用だ。これ位何ともねーよ、だって俺神だし?(本当は結構息苦しいけど)」
…うん、私俺様萌えでよかった。可愛すぎるよこの神様。
「お、そろそろだな」
何が?と聞こうとした瞬間アタシ達はカラオケボックスで見たのと同じ眩しい光に包まれた。
光のせいでMZDの顔は見えなかったけどきっとさっき出会った時と同じ、不敵に笑いながら楽しそうな声で言った。
「ようこそ。俺の作った世界へ」
目を開けるとそこは青い空に白い雲。そして下には大きな町。
…って下?
「うわーっ!何アタシ達空の上にいるのー!?」
いや、トリップ物でスタート地点が空中なのはお約束だけどさ!実際かなり怖いよ!!
「心配するな。ちゃんと下に降ろしてやるよ。だからしっかり掴まってろ」
言われなくてもそうするわよ!!
それにしても…
「寒いねここ」
「そういえば空って高い所に行けば行く程寒くなるのよね」
アタシ達の格好は春向けの私服。
こっちの世界の時間の流れがどうなっているかは分からないけどアタシ達の世界はこっちに来る時四月下旬だったし。
「もうちょっとの辛抱だ。は…」
「は?」
「は…は…ハックション!!」
ボン!
うわ。神でもくしゃみするんだ。
それにいまのくしゃみの拍子でまた子供サイズに戻ってるし。
もちろん体が小さくなった分アタシ達が掴まっていた所もサイズダウンしてるからアタシは慌てて細くなった腰にしがみつく。
音々も首に掴まり直してる。
あ、今MZD「ぐぇっ」って言った。
スルッ
え?ちょ、何今のスルッって効果音。
あんまり想像したくないけど例えばこういうトリップ物だと腕とかを放しちゃう時に使うような…
「キャアアアアアアアッッッッ!!!」
「って本当に落ちてるしー!?」
「美琴ーっ!!」
「あ、いっけね。首締まった時につい…」
「つい…じゃ無いわ!早く助けに行ってよMZD!!」
「早すぎて無理だ。先にお前らを下に降ろす」
「そんな!じゃあ美琴はどうなるのさ!!」
「心配すんな。幸いこの真下は俺の知り合いの住んでる所だ。今助けてもらうように連絡するからちょっと黙ってろ」
「知り合い?」
「お前もよく知ってる妖怪バンドだ」
え!?マジですか?
こんな状況じゃなかったら喜んでたんだけどなー…
黙り込むMZD。おそらく『連絡』とやらをしているのだろう。
アタシと音々はただ美琴の無事を祈るだけだった。
「…とりあえず連絡はした。あとは無事を祈っとけ」
「…もうやってるわよ…」
「悪いな…助けたら俺の家まで連れてくるように言っておいたからまずは俺の家にいくぞ」
「分かった」
「お、そうだ。アイツらにも来るように連絡しとくか」
「アイツらって?」
「今回は内緒だ。まあ、団体様とだけ言っておく」
団体様?
考えてるとまたMZDは黙り込んだまま移動を始めた。
美琴…
一足早く彼らに会えるなんて羨まし過ぎる!
早くMZDの家に連れてきてね!!
生でポップンのキャラに会えるのが楽しみになって段々テンションが上がってきたアタシを見て音々が「もう心配するのやめたの?」と冷たい視線でツッコミを入れてきたけどあえてスルーした。