Trip×とりっぷ×トリップ!

□第3話
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今日と明日は久々のオフ。
音楽活動もピチ丼屋のバイトも無い。
だからゆっくり家でゴロゴロしようとしていたのに…

『よー!お前ら全員いるかー!?』

神からいきなりのテレパシーとか騒動フラグしか浮かばねーじゃんか貴重な休日返せコノヤロー

そしてこの声は他の連中にも届いているらしい。
タローは海に行こうとボードを持って勢い良く家を出た所でずっこけ、ミサキさんが読んでいたファッション雑誌を思い切り真っ二つに引き裂き、ギター片手に作曲していたDさんに至ってはせっかく浮かんだ新曲のイメージがすっぽ抜けたらしく頭を抱えて落ち込んでいる。
あ、DTOの奴びっくりしてソファーから転げ落ちてやんの。
一体何の用だと六さんが不機嫌そうに訪ねれば向こうはえらく機嫌が良いらしく明るい口調で返事が返ってくる。

『今さっき他の世界から新しいパーティーの参加者連れてきたんだよ。お前らとあともう一組にだけ先行でご披露してやるからさっさと俺の家に来いよ!じゃーな!!』

言いたい事だけ言ってMZDの声は聞こえなくなった。
そして家中が沈黙に包まれ、暫し経ってからようやく六さんが口を開く。

「ハヤト、カジカ、家のどっかにいるジャックを連れてこい。神の家に殴り込みだ
「「はーい」」」

貴重な休みを潰された恨みは大きいようで、二人は喜々としながらジャックを探しに二階へと上がって行く。
全く、折角の休みが台無しだ。でも…

「リュータ先輩何してるんですか、先輩もジャック探すの手伝って下さいよ」
「おう、今行くー」

新しい参加者か、どんな奴が来るのか楽しみだな。





MZDの家は『アマゾン川流域青木町』にある。
最初聞いた時はふざけた地名だなー、と思っていたが正式な名称は『時空の狭間』と言うらしい。俺達人間のいる人間界とメルヘン王国、ホワイトランド。このポップンワールドの中に存在している三つの世界全ての中間地点にあたる場所にあるからだ。
そこへの行き方は至って簡単。車・徒歩何でもいい。向こう側に繋がっている抜け道を見つけて通るだけ。他の世界を観光したいという人向けに抜け道の載ったマップも販売されている。
そしてDTOとミサキさんによる怒り任せのドライビングテクニックでグロッキーになった俺がふらふらになりながらもMZDの家の前に着いた頃には六さんが家の呼び鈴を鳴らしていた。

ピーンポーン

ガチャ

ドアを開けて出て来たのは家の持ち主であるMZD…
の影。
前にMZDが名前教えてくれたけどぶっちゃけ人間には発音不可能だったので俺達はハテナって呼んでる。

「ハテナか。MZDの奴に呼ばれたんだが奴はいるのか?」

六さんの問い掛けに対して首を横に振るハテナ。
どうやらまだMZDは帰ってきてないみたいだ。

「あいつ…俺達にさっさと来いと言っておきながらまだ着いてないとはどういう了見だ?」
「ねえハテナ、僕達MZDさんに今度のパーティーから新しく参加する人達に会わせてあげるって言われて来たんだけど家の中で待たせてもらってもいいかな?」

ハヤトが尋ねるとハテナは口しかない顔でにこりと微笑んで俺達を家に招き入れた。
本当、本体のMZDと違っていい奴だよなコイツ。





「今帰ったぜー!」

リビングでハテナが淹れてくれたお茶を飲みながら一息ついていると大声と共にMZDが
部屋の何もない空中にパッと姿を現した。
その腰には茶髪の小柄な女の子が抱き付いている。
あと首にも誰かの腕が見えるんだが…とりあえずあの茶髪の子どっかで見た事ある気がすんぞ?

「おい優歌、音々、俺の家に着いたぞ。よお六、随分と早く来たんだな」
「お前がさっさと来いって言ったんだろうが。と言うか普通に玄関から帰って来いよ」
「いいんだよ俺神様だから」
「で、その二人がお前が新しく連れてきたっつー参加者か?」
「ああ。あともう一人いるんだがちょっと訳ありでな、後から来る事になってる。…音々、いい加減首から腕を放せ。そろそろ息苦しい」
「美琴の無事が確認出来るまでは絶対に嫌だ」

そう言ってMZDの後ろから顔を出したのは金髪に緑の目をした…って美琴に優歌に音々?
その顔にその名前ってまさか…

「新しい参加者って『生は「わー!『生はじ』の優歌ちゃんと音々ちゃんだー!!」今俺が言おうとしてただろタロォォォォォ!!」
「「『生はじ』?」」
「お前らの世界がこっちで漫画になってる時のタイトル。『生演奏、始めました』で略して『生はじ』な」
「そうなんだ…あ、初めまして。多分その『生はじ』の音々で合ってます。よろしくお願いします」
「うわあ、すごーい!Des-ROW・組のメンバー勢揃いだー!!ご存知だと思うけど優歌ですよろしくっ!!」

優歌が俺らを見て目をキラキラさせている。
そう言えば俺らの世界は他の世界じゃ音ゲーとして認識されていて、優歌はアニメやゲームが大好きって設定だったな。俺らの事知ってて当然か…
分かっちゃいるけど何だか照れ臭い。

「ところで美琴の無事がどうのこうのって言ってたけど…MZD、貴方何やらかしたのよ」
「そーなんですよ!聞いて下さいミサキさん!MZDったらアタシ達をこっちに連れてきた時に…」

ペタ…ペタ…ペタ…ペタ…

優歌が説明しようとしたその時廊下の方から足音が聞こえてきた。

「この足音って…」
「きっと美琴だよ!よかった、無事だったんだ…」

ペタペタ…ペタペタ…

段々近づいてくる足音。
心なしかさっきよりも早足な感じがする。

「それにしても…」
「うん」

ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス

「「美琴ものすごく怒ってるね(わね)」」

本当何やらかしたんだMZD。
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