Trip×とりっぷ×トリップ!

□第5話
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MZDに連れられてアマゾン川流域町に戻った僕達を出迎えたのは巨大なショッピングモールだった。

「うわー…」
「でか…」
「凄い…」
「地球・メルヘン王国・ホワイトランド全部の世界と繋がってるからな、ここに来れば大抵の物は手に入るぞ。とりあえず絶対にコレは欲しいってのは何かあるか?」
「「「携帯」」」

僕達三人の声が見事にハモった。
いや、だって元の世界で使ってた携帯全然使えないんだもん。かろうじて電話帳に入ってるデータが見られる位だ。
芸能活動する時にも連絡事項とか入ってくるだろうしやっぱり携帯は必須アイテムだよね。

「じゃあ先に携帯買うか。確かこっちに店があったはずだ」

案内されたお店には様々な種類の携帯が置かれていた。
へぇー、こっちの携帯って『pop'n fone』って言うのか。メルヘン王国製って書いてあるけど起動したら羽根生えて空飛んだりしないよね?
あ、これ良いなと思ったら最新機種か…やっぱり良い機種って高いなー…

「値段なんか気にすんな。好きなの選べ」
「へ?良いの??」
「良いんだって、俺が向こうからいきなり連れてきたんだしな。詫びって訳じゃねーが今日は気に入った物好きなだけ買っていいぜ?」

それに俺は神だからお金の心配なんかしなくていいんだ、と笑うMZD。
MZD…ちょっと見直したぞ。

でもやっぱり心は読まないで心臓に悪い。

ってな訳で一番性能の良い奴を三人色違いで購入した。

「メルアド、前の世界と同じで良いよね?」
「そうね。今更変えるのも面倒だし」
「じゃあ後で前の携帯の電話帳見て入力しとくよ」
「んじゃ携帯も買ったし次は服だな。良い店があるから付いてこい」

そう言われて到着したのはショッピングモールの中心に位置するお店。
『Girly Candy』と書かれた看板に優歌が「このお店もしかして…!」って反応してる所を見るとどうやらここもポップンのキャラクターが営業しているお店らしい。

「いらっしゃいませー!…あれ、神様だ。珍しいですねうちに来るなんて」
「本当、どうしたんですか?」

お店の中にいたのは茶色い髪を高い位置で結っている活発そうな女の子と黒い髪を降ろしている大人しそうな女の子。

「よおリエ、さなえ。今度のパーティーで異世界から新しく参加する奴連れてきたんだよ、今着てる奴しか服が無いから適当に見繕ってやってくれ」
「分かりました…って、もしかしてこの子達『生はじ』の美琴ちゃん、優歌ちゃん、音々ちゃんですか?!」
「凄い!まさかこの三人に会えるなんて…!!」

どうやらこの二人も僕達の出ている漫画を読んでくれているらしい。
そう言えば昨日Des組の皆も僕達を見てびっくりしてた…そんなに有名なのかな僕達。
今度MZDに頼んで漫画読ませてもらおう。

「初めまして、リエです。普段は服飾系のデザイン学校で勉強してるんだけど友達と『Girly Candy』ってブランド立ち上げてからは神様のご厚意でここのテナント借りさせてもらって作った服を販売しているの」
「私はさなえ。普段は雑貨屋さんでバイトしてるんだけど時々ここでリエちゃんのお手伝いをしてます」
「学校に通いながらブランドを立ち上げるなんて凄いですね!僕尊敬しちゃいます!!」
「音々ちゃんこそいつも素敵なステージ衣装作ってて凄いわ!私もあんな服作ってみたいと思っているの!!」
「いやー、僕のは兄さん達も手伝ってくれてるから…」
「すっげー意気投合してるぞあの二人…」
「まあ何となく予想はしていたけどな」

リエさんと服の事で盛り上がったらDさんとMZDにちょっと引かれた。
しょうがないじゃん、僕も服を作る側の人間なんだから。

「リエちゃん、さなえちゃん?随分賑やかだけどどうしたのー?」
「今何かMZDの声が聞こえたような…」

お店の奥から更に誰かが出て来る。
あれは…

「きゃー!ミミちゃんニャミちゃんごめんね放ったらかしにしちゃって!!折角新作チェックしに来てくれたのに…」
「いいって!気にしない気にしない!!」
「あ、やっぱりMZDだ。誰その子達?」

やっぱりミミちゃんとニャミちゃんだ!
優歌に誘われてゲーセンに行ってポップンを遊んだ時も5ボタンで、しかも版権曲しか遊ばない僕にとってちゃんと顔と名前が一致するのは版権曲を担当する事が多いこの二人だけだからすぐに分かった。

「おー、お前らもいたのか。丁度良い、顔合わせセッティングする手間が省けたわ。ミミ、ニャミ紹介するぜ。今度のパーティーから参加する『生はじ』の主人公三人娘。原作知ってるだろ?」
「勿論知ってるに決まってるじゃん!私ミミ、よろしくね!!」
「私なんか単行本もアニメも全部チェックしてるんだからね!うわー、感激!!私はニャミ!これから一緒に頑張ろうね!!」
「よ、よろしく…」

二人が代わる代わる僕達の手を握ってブンブンと激しく上下に動かす。
元気だなー、二人とも。
僕この人達と一緒にお仕事するのか…まだちょっと実感湧かないや。

「こいつらまだステージ経験浅いからパーティーまでDes組とDeuilとお前らの所で修行させる事にしたから面倒見てやってくれよな。ちなみにお前らの所に行くのは音々だ」
「えー!そうなの?!やったー!!」
「音々ちゃんと一緒にお仕事なんて嬉しい!で、他の二人はどこへ行くの?」
「私がDeuilで…」
「アタシがDes組ー!」
「そうなんだ!…ところでDの後ろにいる女の人は誰?」

ミミちゃんの問い掛けでニャミちゃんとリエさん、さなえさんの視線が一点に集中する。
その先にはDさんの後ろに隠れる様に(むしろ隠れていたんだろう)立っている本日限定キャラ・リィユことユーリの姿があった。

「本当だ。MZD、その人誰?」
「何となくユーリさんに似ている気が…」
「私もそう思う…」

まずい。
下手な嘘は付けない…かと言って正直に言おう物なら最悪ユーリのイメージダウンになっちゃうかもしれないし…
どうしたものかと悩んでると…

「初めまして、私リィユと申します。ユーリとは遠縁の親戚に当たりますのよ?時々皆さんのお話は伺ってますわ」

意外にも最初に口を開いたのはユーリだった。
しかも話し方や仕草はどこからどう見ても女の人。
どうやら腹を括って一日中女性になりきる気になったみたい。

「え、ユーリの親戚なんですか?!」
「似てますね!」
「ええ、昔から言われます。今日の美琴さん達の買い物も本当はユーリが付き添いだったんだけど…急に用事ができたとかでいきなり頼まれたんですよ」

ユーリ…なりきろうって言う心構えは立派だけど笑顔が思いっ切り引きつってるよ。
後ろでMZDが笑いを堪えるのに必死だし…後で怒られても知らないよー…

「あ、そうだ!リィユさんも服見ていきません?私頑張って選んじゃいますよ!!」
「え゛!?い、いいえ…。今回は止めておきますわ。次の機会にお願いしますね」

リエさん残念そう…でもしょうがないよね。
どれだけ綺麗でも中身はユーリだし。

「じゃあ当初の予定通り三人の服を選びましょうか!皆どんな服が良いの?」
「シンプルなのが良いわ」
「フリルとかいっぱい付いた可愛いの!」
「動きやすい物が良いかな」
「了解!」
「私達も選ぶの手伝うー!」

そして数分後…

「ねぇねぇ音々ちゃん!コレなんかどう?」
「え、僕的にはスカートはちょっと…それに何か短いし…」
「何言ってるの!音々ちゃんだって女の子なんだからスカート位履きなよ!絶対似合うって!!」
「とりあえず買っちゃいなよ。どうせお金は全額神持ちなんだしさ」
「何気に俺の扱いひどくねぇかニャミ?」

ミミちゃん達や優歌の着せ替え人形になる事数十分。
ようやく洋服を買い終わったは良いけどかなりの量になってしまった…
なので後でMZDがそれぞれの部屋へ転送してくれる事になった。ありがとうMZD。

「ありがとうございましたー!」
「じゃあ音々ちゃん、今度は仕事で会おうね!」
「うん!」
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