Trip×とりっぷ×トリップ!

□Our princess had a cold.
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朝起きたら何かいつもと違う感じ。
妙にフラフラとする足で下に降りて行けばアッシュがいつもの様に美味しそうな朝食を作っていた。
…何故だろう、視界がぼやけて見える。

「おはよう…」
「おはようッス…どうしたッスか美琴、顔赤いッスよ?」
「うーん…そう言われると何だか体が怠くてそれでいて寒くて頭がクラクラする気がしないでも無い…かしら?」
「…ってそれ熱があるって事じゃないッスか!部屋に連れて行くからじっとしてるッス!!」

そう言うが早いが私をお姫様抱っこして上に向かって走り出すアッシュ。

「え!?ち、ちょっと!普通にコレ恥ずかしいんですけどぉぉ!!??





部屋に到着してから熱を測れば案の定、体温計は38.9度の高熱を記録していた。

「風邪ッスね…暖かくして寝た方が良いッス、今下に行って薬と氷枕持ってくるッスけど他に欲しい物はあるッスか?」
「特に無いけど…それよりアッシュ、何か布団の中に違和感があるんだけど。私以外に誰かが入ってるみたいな」
「…?おかしいッスね??ちょっと寒いけど我慢するッスよ」

ガバッ!

アッシュが布団を捲って冷たい風が入り込むとそこにいたのは…

「「…スマイル?」」
「アレ?バレちゃっタ??」
「何やってるッスかこんな所で!」
「アッシュが騒いでるの聞き付けて看病しに来たノ」
「コレが看病?」
「ウン♪僕の人肌で温めてあげようと思っ「アッシュ、まずはこの透明人間に退場してもらって
「分かったッス。ほらスマイル、向こうに行くッスよ」
「え〜!?」

ズルズルと引きずられて行くスマイルを見て余計に頭が痛くなってきたのは気のせいだろうか。





そして夜、熱は下がる所か上がる一方。
意識も朦朧としていた時ユーリが部屋に入ってきた。

「美琴、アッシュから聞いたぞ。具合はどうだ?」
「ユーリ…お帰りなさい、今日仕事で遅くなるんじゃなかった?」
「起き上がらなくて良いから寝ていろ。お前が熱を出したと聞いてな、早めに切り上げて後日出来る仕事も後日に回した」
「そうなの?何か悪いわね」
「気にする事はない…まだかなり熱があるな」
「ユーリの手…冷たくて気持ち良い…。ねぇ、触ってても良いかしら?」

普段はこんな事自分からは言わないんだけど…やっぱり病気の時は人恋しくなるって本当なのね。
あ…何か…急…に眠…

「ヴァンパイアには体温が無いからな。…美琴?」
「…すー…」
「…寝てしまったか…」
「ユーリ、美琴はどうしてるッスか?」
「アッシュか、見ての通りだ。お陰で動けん」
「あー!ユーリってば美琴と手繋いでルー!狡イー!!」
「五月蠅いぞスマイル、病人が眠っているのだからもう少し静かにしていろ」





次の日…

「ごめんなさいユーリ、一晩中側にいてくれたみたいで…眠くない?」
「これ位何でもない。それに私は元々夜行性だしな、仕事も休みを取ったから後でゆっくり休むさ」
「大分熱も下がったみたいッスね。でもまだ今日一日は大人しく寝てるッスよ?」
「分かってる」

バタン!!

「美琴〜!ずっとベッドの中で暇だろうからギャンブラーZのDVD持ってきたヨー!一緒に見よウ♪」
駄目ッス!体調悪い時にTV画面なんか見たら目が疲れて余計に悪くなるッス!!」
「美琴〜また後で来るからネ〜♪」

こうしてスマイルは再びアッシュに引きずられながら部屋から出て行った。(と言うか追い出された)

「「……………」」
「…まぁ、アイツはアイツなりに心配しているんだろうな」
「…そうね」

言ってユーリと二人、苦笑いを浮かべ合う。

「…ふふっ」
「どうした?」
「熱かったり寒かったりで色々としんどかったけど…こんなにお姫様扱いしてもらえるなら風邪を引くのも悪くないかなー…なんて」
「何を言うんだ、お前は最初から私達のお姫様だろうが」
「……………」

ああもう、そんな台詞を貴方が普通に言うからまた熱が上がったかもしれないじゃないの。
もしそうなったら完治するまで更に時間がかかりそうだし…
責任取って付きっきりで看病してね?







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