Trip×とりっぷ×トリップ!

□四天王の挑戦〜或いはカニパンの一方的な私怨〜
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今思えば
アタシがあの時あんな事を言わなければこうならずに済んだんじゃなかろーか。

「飽きた」
「「は?」」
「ゲーム飽きたー」

その日アタシは美琴と音々と遊ぶ約束をしていた。だけど前日になってから夕方から夜、急な仕事が入ってしまった。
でも美琴と音々はオフ。
なので午前中にMZDの家でゲームとお昼ご飯、次にユーリのお城でアッシュのご飯とおやつを食べそれからDes家の皆と待ち合わせて仕事に行くと言うかなり強行軍なプランを実行していた。

「そりゃあ飽きるでしょうよ、ほんの二・三時間足らずでこれだけやり込めば」

呆れた声を挙げながら美琴の見つめるテレビ画面に映るのはレベル・ステータス・装備全てを最高にしたRPGの主人公。

「前々からコツコツレベル上げしてたのを今日一日で一気に仕上げただけじゃん」
「いや、それにしたって早すぎだから」
「とにかく飽きたー。MZD珍しく仕事してて弄りようがないしー」
「じゃあ少し早いけどユーリ城に行く?今行ってお昼ご飯の下拵えに間に合えばアッシュ作ってくれると思うし」

アッシュの手作りご飯
その単語にアタシが反応しない訳が無かった。

行く
「それじゃ鍵を使って…っと」

地球・メルヘン王国・ホワイトランド

以前ユーリに貰ったポップン世界にある三つのエリアを自由に行き来可能な扉を呼び出せる魔法の鍵。
コレを使って扉を通るまではいつもと変わらなかった。
だけど…

「「!?」」

何故かアタシ達はその時、今までに無いグニャリと空間がねじ曲がる感覚を感じた。

ドサッ!

「「うわぁっ!?」」
「あいたたた…二人共大丈夫ー?」
「どうにかね。それにしても何よ今の?いつもの着き方と全然違うじゃん」
「…どうやらいつもと違うのは到着の仕方だけじゃないみたいよ?」
「それどう言う意…ここどこ?」

乱暴に投げ出された先は見慣れたユーリ城の城門でも前に遊びに行ったジズの館でも無い、薄暗い洋館の中。
アタシが怖い物大嫌い人間と知っての狼藉かコノヤロー?!

「優歌、優歌。気持ちは分かるけど気を確かに」
「うん、頑張る…





…やっぱり無理ぃぃ!お家帰るぅぅぅ!!
『クックックッ…』
「誰?!」

突然響いてきた男の声。
うんぶっちゃけ一瞬意識飛んだ。

『ようこそ私の館へ、手荒な招待になってすまないね』
「招待って…じゃあこの館に来たのは貴方の所為なの?」
「さ、さっさと返してくれない?アタシ達急ぎの用があるんだけど!」
『ああ良いだろう。但し、我々の挑戦を受けてからな』

我々?挑戦??

「複数いるの…?」
『そうだ。全員で四人、そこの扉の先にある部屋でまず一人と勝負して貰おうか。ああそんなに身構えなくて良い、勝負と言っても簡単なゲームだ。それに勝てば次の部屋に進める。四人全員に勝利した暁には君達の望み通りこの館から出してあげよう』
「ですって…どうする?」
「そんなの聞くまでも無いでしょ」
「首洗って待ってなさいよどっかの誰かさん!」

お腹を減らしたアタシを敵に回した罪は重くってよ?速攻でぶっ倒してやるんだから!!
用意された扉の中に入ると薄暗い部屋の中、黒いフード付きマントを身に着けた誰かが立っていた。

「ようこそ、最初の部屋へ。まずは僕が相手だよ」

バサリとマントを外した中身は…

「「ウーノさん!?」」
「何でこんな所にいるんですか?!」
「ちょっと副業の方で頼まれちゃってねー」
「副業?」
「いや、こっちの話。じゃあ早速勝負しようか。内容は…」
「「…………」」
「コレだよ!」

部屋が急に明るくなり、部屋の内装が見える。
そしてウーノさんの後ろに置かれた『内容』を見てアタシ達は…

ズルッ!

盛大にずっこけた。

「ウーノさん何で…何で弐寺なんですか!?音ゲー対決するにしたってそこはポップンでしょう普通!!」
「うーん…何となく?僕も君達もアイドルだし怪我するような物は避けたいかなー、なんて。ポップンは普段からやってるから新鮮味が無いし」
「あー…お気遣いどうも。とりあえず勝負だよね、最初誰が行く?」
「じゃあ私が行くわ」
「行ってらっしゃーい」

ま、美琴はキーボード担当で鍵盤型の物に普段から触れてるから問題無いでしょ。
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