RKRN×携帯獣

□異世界食物体験
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「これで準備よし…っと」
「おはようアヤノ、どうしたんだ朝から鍬なんか担いで…」
「おはよう留三郎くん。ポケモン達のご飯になるきのみを育てたくてね、学園長先生にお願いして保健委員会と生物委員会が使ってる菜園の一角を分けてもらったの。これから植えに行くんだ」
「へー、俺手伝ってやろうか」
「何言ってるの、授業あるでしょ?」
「六年生は午前中自習なんだよ。いいからそれ貸せって」

そう言って俺はアヤノから鍬を取り上げて菜園の方へと歩いていく。
到着した先の畑でうねを作ってやると彼女はかつて学園長や先生方に自分が異世界から来た証拠として色々な道具を取り出していた変わった形の袋の中から様々な色や形の実を取り出して一つずつ丁寧に埋めていった。

「それがお前の世界の木の実か?」
「うん。後はこまめに様子を見て土が乾いていたら充分に水をあげるだけでいいんだ」
「随分と楽だな」
「まあね」
「人間にも食える物なのか?」
「勿論よ。沢山収穫出来たら留三郎くん達にも分けてあげる」
「ははっ、そいつは楽しみだ」

…とは言った物のどんな植物だって育つのにはかなりの時間が掛かる。木の実なら尚更だ。
果たして実が成るまで彼女とその相棒達がこの学園にいてくれるかどうか、むしろ自分達がまだ在籍しているかどうか…
それでも楽しみな事には変わりないので俺はアヤノが水を与える様子を眺めながら異世界の木の実は一体どんな味なのだろうと思いを馳せた。





「今日の用具委員会の活動はここまで!」
「「お疲れ様でしたー!」」
「よーし、もう少ししたら夕飯の時間だし井戸で手を洗ってこのまま食堂直行するか!」
「わーい!僕もうお腹ぺこぺこです〜」
「…はにゃ?」
「ん?どうしたの喜三太」
「ねー平太、あそこにいるのアヤノさんだよね?どうして菜園なんかにいるんだろう?」
「…あ、本当だ」
「ま、まさかアヤノさんに変装した間者がうちの菜園から薬草や毒草を盗みに…?!」

放課後、用具委員会の活動を終えて後輩達と食堂へ向かう途中で菜園にいるアヤノの後ろ姿を発見する。
それを見た一年生達は首を傾げ、作兵衛がお得意の豊か過ぎる想像力で暴走しているが…なるほど、こいつらはアヤノが自分の世界の木の実植えたって事知らないのか。

「心配すんなって作兵衛、あれはアヤノ本人だ」
「何で分かるんですか?」
「今朝あそこにあいつが畑作るの手伝ったからな。おーい!アヤノー!!」
「あ、留三郎くんに用具委員会の皆!丁度良かった!!」
「ん?」
「きのみの収穫手伝ってくれない?夕飯の材料に使おうと思って取りに来たら故郷で育てた時以上に沢山実が成っちゃって私一人じゃ収穫しきれないのよ…土との相性が良いのかしら」

そう言いながら苦笑するアヤノの後ろには青々と生い茂った葉や立派な木の幹、そして大量に成った色取り取りの…?!

いや待ておかしいだろ!何で今朝植えた木の実がもう収穫出来るようになってるんだよ!!」
「何でって言われても…私の世界じゃこれが普通よ?成長が早い種類なら半日経たずに、遅い種類でも四日あれば収穫出来るの。むしろ『桃栗三年柿八年』だっけ?こっちの樹木って育つの遅いのね」
「早くて半日経たず…」
「遅くても四日…」

とんでもない成長の早さに俺達が唖然としているとアヤノはどこからか収穫用であろう大きな籠を人数分用意して手渡してきた。

「じゃ、始めましょ」





「「終わったぁ〜!!」」
「お疲れ様。皆ありがとう、本当に助かったわ!でもいいの?食堂に運ぶのまで手伝ってもらっちゃって」
「いいんですよ、どうせ俺達も食堂に行く途中だったし」
「大体この量お前一人じゃ運べねーって。手伝えそうなルリは体育委員会の連中とマラソン行っちまったしカレンは文次郎の奴と勝負中。念力が使えるジュジュだってどうせいつもの図書室だろ?」
「あはははは…正解」
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