RKRN×携帯獣

□【急募】沈黙の生き字引
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「アヤノさーん!」
「あら伏木蔵くん、久し振りね。お休み楽しかった?」
「お久し振りです…ってそれ所じゃないんです!聞いて下さいアヤノさん!大変なんです!すっごいスリルなんですよ〜!!」
「え?」

何でも学園長先生の突然の思い付きにより各委員会の委員長が改選されたらしい。しかも体育委員会と保健委員会が統合したとか。
新学期初日からこの騒動…学園長は一体何を考えていらっしゃるんだろうか。

「じゃあ小平太くんが新しい図書委員会委員長になったの?!」
「はい…」
「で、長次くんは?」
「中在家長次先輩は用具委員会の新委員長になられました。他には会計委員会に善法寺伊作先輩、生物委員会には立花仙蔵先輩、作法委員会に食満留三郎先輩。それから保健・体育委員会に潮江文次郎先輩がそれぞれ新委員長として就任しましたよー」
「あらま…」

長次くん、仙蔵くんや伊作くんは何とかなるだろう。
だけど問題は武闘派な留三郎くんと文次郎くんの二人、それに体育委員会委員長で体を動かすのが大好きな小平太くんだと思う。特に…

「どうしようカレン、小平太くんと図書室とか最悪の組み合わせな気がする」
「ガウ」

何も起こらないと良いんだけど…





嫌な予感とは当たって欲しくない時に限って的中したりする物である。
忍術学園と敵対している城の忍者達が忍び込んで来たとの情報が入ってきたのだ。

「ドクタケとドクササコ、ドクアジロガサにトフンタケ、更にオシロイシメジとホウキタケ…随分大勢ね」
「私達は学園長先生がくださった『侵入忍者予想表』に書かれていた『こやつらは忍術学園の新しいトカゲを調べにやってくる』と言う言葉が気になるので敵忍者を探しつつ、生物委員会に行ってみようと思います」

一年は組の皆が侵入者を探すついでに『豆を移す習』の補習をすると言うので私も一緒に行く事にした。
皆だけじゃ心配だしいざとなったらポケモンで対抗出来る。

「それじゃあ行きましょうか」
「「おー!!」」

生物委員会に行ってみたけど手掛かり無し。
途中でドクアジロガサやトフンタケの忍者と遭遇したり虎若くんがいつも目をキラキラさせて語っている照星さんなる人とお会いしたりしたけど『トカゲ』の正体は分からないまま。
伊作くんに『トカゲ』について尋ねようと会計委員会に行ったら三木ヱ門くんの新しい『ヘビ』が大砲で…
結果、三木ヱ門くんのアドバイスで南蛮の古い古い言葉を調べる為に私と乱太郎くんときり丸くんとしんべヱくんの四人は図書室に向かった。

「…きり丸くん顔色悪いけど大丈夫?体調悪い??」
「いえ、体調は良いんすけど…図書室が…」
「?図書室がどうかしたの??」
「行けば分かりますよ…」





数分後、私はきり丸くんの顔色が悪かった理由を嫌でも思い知る事になった。

「「うっひょ〜!!」」
「何これ…蔵書がぐっちゃぐちゃじゃないの!」

しかも図書室の壁には…人型の穴?!
更に最近モンスターボールの中よりも雷蔵くんの側にいたり図書室に入り浸っている事が多いジュジュが穴の開いた壁を睨んでるし……

「久作くん…どうしてこうなったの?」
「どうしたもこうしたも新・図書委員長が…」

語られたのは私が予想していたのよりも遥かに酷い小平太くんの図書委員長っぷりだった。
久作くん曰く、連歌についての資料を山積みになった書物の下部から取り出して雪崩を起こした。
怪士丸くん曰く、虫を発見した時に貴重な書物を使って虫を叩き潰した。

「それで七松図書委員長が虫を潰したらジュジュちゃんがいきなり真っ黒い球を出してそれを委員長にぶつけて…」
「この穴が開いた…と」
「あ、あと黒い球を出す前に何か悪い事を企んでるみたいな表情してました」
「それ俺も見ました。書物の山が崩れた時に」
「俺も。昼間、雷蔵先輩が貸し出し期日が過ぎている本の返却を督促しに行こうとするのにジュジュがついて行こうとしたら七松委員長が「細かい事は気にするな!!」って言った時に見たぜ」
「そう言われてみれば貸し出し票や図書カードがぐちゃぐちゃになった時にもそんな顔をしていたような…」

それってまさか…

「ジュジュ、あなた“シャドーボール”使ったでしょ。しかも“わるだくみ”何回も使ってから…」
「ムゥ!」

まあジュジュったら、近年稀に見る素敵な笑顔だこと。

「“わるだくみ”?」
「技の名前ですかそれ?」
「そう。ポケモンの使う技には大きく分けて3つの種類があってね、ルリが殴ったりコハルが尻尾を刀にして斬りつけたりするのは『物理』、カレンが炎を吐いたりジュジュが念力使うのは『特殊』、そしてそれらの威力を高めたり体力を回復させたりするのを『補助』って呼ぶんだけど…“わるだくみ”はその技を使ったポケモンが『特殊』を使った時の威力を増幅させる『補助』の技なの」
「…それを何回も使った後の攻撃って事は…」
「威力は最大級…しかも“シャドーボール”はジュジュと同じゴーストタイプの技だから更に上乗せされてるわね。小平太くん無事かしら」

とても几帳面なジュジュに小平太くんのいけどん精神はかなり相性が悪かったのだろう。
冷静な性格で滅多に怒らない彼女がこれだけの事をするのだから。

「学園長先生…今からでも改選考え直して下さらないかな…」

彼女の好きな図書委員会はやっぱり彼無しでは成り立たないと思うし何より…

「このままだと図書室が全壊しちゃう…!」





【急募】沈黙の生き字引
ジュジュにも長次くんが戻るまで辛抱するよう言い聞かせなくちゃ…



(はっはっは!ジュジュは強いなー!!危うく学園の外まで吹っ飛ばされる所だっだぞ!!)
(ムゥ?!)
(ジュジュの威力増幅版“シャドーボール”を食らっても平気とか…小平太くん本当に人間なの?)
(アヤノさんさり気なく酷い事言ってません?)





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