忍たま夢

□第1話
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とある日の昼下がり。
いつもと同じ様に仙蔵達と食堂でおばちゃん特製ランチに舌鼓を打っていると、くのたまの六年生であり俺の幼馴染みでもある四堂暦がいきなり

仙蔵!私を女にして!!

ブフゥッ!!

なんて爆弾発言を投下しやがったので俺が噴いた味噌汁が食堂に見事な虹を架けた。
向かいに座っていた伊作には悪い事をしたと思うが今は正直それどころでは無い。

「文次郎汚い…あと伊作に謝りなさいよ」
「バ、バカタレ!お前が昼間から変な事言うからだろうが!!」
「変な…?ああ、そういう事か。ごめん、切羽詰まり過ぎてて言葉足りなかったわ…つかそっち方面に考えるとかあんた普段鍛練だ何だって騒いでるけど実はむっつり?」
「違うわボケ!!」
「やーい、むっつりー」
「むっつりー」
「留三郎…小平太…お前ら後で覚えてろよ…」

用具委員会と体育委員会の予算…いつも以上にばっさり削ってやる…!!

「ま、まあまあ…で?いきなりどうしたのさ暦。その…女に、なんて…」

自らの顔に掛かった味噌汁を布巾で拭いつつ尋ねる伊作に

「その事なんだけどさ、あんた達私が忍たま達の間で何て呼ばれてるか知ってるわよね?怒らないから正直に白状なさい」

暫し沈黙が食堂を包むが視線だけで人を射殺せそうな暦の気迫に負けて俺達の口が次々と開かれる。

「…女版小平太…」
「いけどん二号…」
「……………女帝……………」
それよ!!

バン!と勢いよく食卓を叩き、その反動で盆に乗った皿が宙に浮いたのを見た伊作が「わっ」と驚きの声をあげるのに構わず暦は続ける。

「何なの女版小平太って!何なのいけどん二号って?!言っとくけどね、確かに私普通のくのたまよりちょっと力持ちだし思い立ったら即行動派だけど小平太みたいに勢い任せで行動してないから!ちゃんと考えて動いてるから!!あと長次が言った『女帝』はなにそれ初耳!!」
「暦、暦。その言い方だと私が馬鹿みたいに聞こえるんだが」
「みたいじゃなくてそう言ってるのよこの体力馬鹿」
「失礼な!私そこまで馬鹿じゃな「そこで私は考えた」反論しようとしたら鮮やかにスルーされた!!」
「どうやったらその不名誉な二つ名を返上出来るか…そして気付いたの!私にはあって小平太にはどう頑張ったって手に入らない物があるって事に!!」
「「???」」
「それはズバリ…女らしさよ!!

ドンガラガッシャン!!

「…何で仙蔵と小平太以外皆コケたし」
「いててててて…い、いや…まさかそこに辿り着くとは思ってなかったから…」
「まあ確かに天地がひっくり返っても小平太には手に入らない物だな…」

と言うか手に入ったら怖い。
一瞬想像して折角の美味いランチが逆流しかけちまったじゃねーかこの馬鹿三郎め。

「でしょ?そこで仙蔵に「断る」最後まで言ってない!!」

用件を全て言い切る前に断られた暦がツッコミを入れると今まで黙々と食べ続けていた仙蔵が漸く話し始める。

「言わずとも分かる。大方作法委員長である私に女らしくなる手伝いをしろとか言うんだろ?」
「お察しの通りで」
「山本シナ先生に頼め」
「『貴女はこの6年間、何を学んでいたの?』ってお説教始まるから絶対嫌。つかそれに昔は多少あった私の女らしさが迷子になったのはあんた達作法委員会のせいでもあるんだから!」
「何故だ?」
「あんたの所の綾部喜八郎が学園のあちこちに蛸壺掘りまくってそれを埋める土を運ぶ日々が続いたせいで私は無駄に筋力付いたのよ!!…まあそれはあんた達にも言える事だけどね?いけどん塹壕掘りする体育委員会と頭突きで塀や学園の壁を破壊する潮江文次郎くん??」
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