忍たま夢

□第3話
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「ねえ兵太夫ー、練習これで合ってるの?」
「はい!間違いないです!!」

どうも、前回から引き続き作法委員室にお邪魔しています四堂暦ですこんにちは。
ただ今私は女らしくなる修行の一環として兵太夫が提案してくれた南蛮の女性が行っているという綺麗な姿勢の保ち方とやらを実践中。
その方法というのが…

「頭の上に本を乗せたまま落とさないようにして歩く、ね…まあ確かに効くかも」

ちょっとでも猫背になると本がぐらついて落ちそうになるからそれを防ぐ為嫌でも綺麗な姿勢を保たざるを得ない。しかも歩くとき歩幅大きくしちゃうとその分体も大きく揺れるので歩幅も自然と改善される。
良い方法を乱太郎に教えてくれてありがとうタソガレドキ忍軍の組頭さん。

「慣れてきたら一冊ずつ本を増やしていくそうです」
「げっ!マジで?!」
「でも今日は一冊だけで終わるんじゃないですか?ほら、今手元にはその本しかないですし」
「はあ…長次に図書室の本こんな使い方したなんてバレたら怒られるな…」

そう。
私が現在進行形で頭に乗せている本、実は仙蔵が私名義で借りてきた一年生向けの礼儀作法の教本なのである。まさかこんな形で役に立つとは思わなかったわ…

「どうだ、借りてきて正解だっただろう」
「いや、奇跡と言ってもおかしくない位の偶然だからね?そんなどや顔でこっち見られてもリアクションに困るのだよ仙蔵くん」
「しかし一冊では成果が分からんな。乗せる物を増やすか」
あんたさっき藤内が言ってた事聞いてた?本は私が今頭に乗っけてる奴しかないんだってば」
「本の代わりに乗せる物があれば良いだろう。喜八郎、あれを持ってこい」
「はーい」
「…ちょっと待って…まさかそれ乗せる気?!」

仙蔵に言われて喜八郎が持ってきたのは何と作法委員会名物・首実検練習用の生首フィギュア。しかもメイク落としてないから白粉や紅がたっぷり付いた奴!

「そうだが?」
「冗談じゃないわよ!そんな物乗せてうっかり落としたらどうなると思ってるの?!」
「万が一その本の上に生首フィギュアが直撃しよう物なら本が白粉や紅で汚れるな。その結果どうなるかお前も大体予想が付くだろう?」

それを聞いた瞬間、白粉と紅にまみれた本を見て満面の笑みで縄標を振り回す長次が脳裏をよぎった。

「…そんな死亡フラグ直立不動間違いなしなとんでもない事を私にやれと」
「ああ!」
「やだこの人すっごい良い笑顔で親指立ててる!だが断る!!」
「私に講師役を頼んだ時点でお前に拒否権は無い。いいからさっさと乗せろ」
「いーやーだー!!」

なんて抵抗は何様俺様仙蔵様の前では当然意味を成さない訳で…結局私の頭上には生首フィギュアが追加させられてしまった。

「うわぁ…」
「えーと…」
「何と言いますか…」
「おやまあ、随分とシュールな絵面になりましたね四堂先輩」
「そうなったのは誰のせいだと思ってるのかな生首フィギュアを乗せた実行犯の綾部喜八郎くん!!」
「だって立花先輩の言う事聞かないと『七日間ター子ちゃん製作禁止令』が出るんですよ?七日間もター子ちゃんを掘れない学園生活なんてそんなの僕は耐えられません」
「真顔で言いきりやがったこいつ…!!」

私はター子ちゃん以下かい…と軽く凹んでいると仙蔵から無情な一言が飛んできた。

「おい暦、そんな所に突っ立ってないでさっさと歩け」
「無茶言わないでよ!さっきまでの本一冊と本プラス化粧済みの生首フィギュアじゃ緊張の度合いが遥かに違うわ!!」
「そうか、それなら無理矢理にでも動かすしかないな。兵太夫」
「はいっ!」

まあ、さすが一年は組のよい子。いいお返事だこと。
なんて感心した私が馬鹿でした。
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