戦国カレイドスコープ

□第2話
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「「『時渡り』?」」
「ええ…まずはこの子を見て下さい」

私がモンスターボールからクロツキを出すとクロツキやヒナ、ミナミを既に見ている佐助さんと小十郎さん以外の二人は凄く驚いた。

「What?!」
「球から…獣が?!」
「…この世界には私達人間以外にポケットモンスター…通称ポケモンと呼ばれる生き物が650種類近くいます。このクロツキもその内の一種です」
「650種類…!そんなにいるの?!」
「その中にセレビィという種類がいて、彼らには時間を自由に移動出来る『時渡り』という能力があるんです」
「時間?」
「ええ、時間です。そしてポケモン達はずっと大昔から私達人間と共存してきた。しかしあなた達はポケモンを知らない…そこが私の推測の域を抜けない理由なんです」
「某、頭が痛くなってきたでござる…」
「そいつがJumpするのは本来『時間』だけ。『空間』…つまり『世界』の垣根までJumpするのはおかしいって事だ」

この手の話は苦手なのか、頭から煙を出しそうな幸村さんの隣で政宗さんが私の意見に補足を加えてくれたのでそれに頷く。

「そう言う事です。だからこれはあくまでも私の推測ですが…セレビィが『時渡り』をする際にはいつも膨大なエネルギー…力が観測されています。多分、そのセレビィは何らかの理由で他のセレビィよりも『時渡り』の際に使用するエネルギーが強くて、時間だけでなく空間も飛び越える『時渡り』を使う事が出来るのでしょう。そして移動した先があなた達の世界。いきなり自分に向かって来る武器に驚いたセレビィが慌てて安全な場所に『時渡り』し直そうとしてあなた達を巻き込んだ…」

しんと静まり返った室内で小十郎さんが口を開いた。

「じゃあそのせれびぃってぽけもんを見付けて俺達の世界に『時渡り』してもらえれば戻れるのか?」
「多分。でもセレビィは時代だけでも色々な所を飛び回るからいつどこにあなた達の遭遇した個体が現れるか…」
「Oh my god…!」

意気消沈する四人…何とかしてあげたい。
そう思ったら声が出ていた。

「…あの、一つだけセレビィに会える可能性がある方法があります」
「誠でござるか!?」

少しだけ表情を明るくした幸村さんに深く頷くとその方法を説明した。

「私の住む街から少し離れた所に『ウバメの森』と呼ばれる森があるんです。そこはセレビィを森の神様として祀っていて、実際に目撃情報も多数挙がっています。そこならおそらくは…」
「Thank you!じゃあ早速その森に向か「場所、知らないでしょ?」Ah…そうだったな」

気恥ずかしそうに頭を掻く政宗さんにくすっと小さく笑ってから

「今私達がいるのは『ウバメの森』があるジョウト地方ではなく隣のカントー地方。ジョウトに住む私がここで会ったのも何かのご縁です、私が『ウバメの森』まで連れて行ってあげますよ!」

そう提案した。

「Really?!」
「かたじけないでござる!」
「…良いの…?」
「…すまない、よろしく頼む」
「はい!そんな訳だからエリカちゃん、この人達の身柄ジュンサーさんじゃなくて私に預けてくれないかしら?」
「勿論ですわ!他ならぬキョウカさんの頼みですもの!!」

さて、そうなると問題は…

「まず、その格好と武器をどうにかしないといけませんね」
「あ、この姿まずい?」
「まずいも何も普通そんな格好してる人いませんって。武器も…戦うのは人間ではなくポケモンなのがこっちの主流ですからね」
「そうなのか」
「あ、そうだ!確かタマムシデパートでの打ち合わせ用に見本として持って来た男性用の着物があったはず…皆さん着物着られますか?」
「No problem.俺達も向こうじゃ戦以外は着物だ」
「良かった、じゃあ部屋出てるんで着替えて下さい」

武器は…うーん、普通のアイテムみたいにパソコン使って私の家に転送出来ないかな?
後で試してみよう。
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