戦国カレイドスコープ

□第7話
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あの『みつはにー』と申すぽけもんの一件…
某が短慮であったが故に佐助は勿論、政宗殿や片倉殿、ひいては突然異世界に飛ばされ右も左も判らない某達の身柄を引き受けて下さった鏡華殿にまで迷惑を掛けてしまった…
それにより某は決意した!
これより先、真田源二郎幸村は決して鏡華殿には迷惑を掛けぬと!!

「とーちゃーく!さあ皆、ここがクチバシティ。カントー1の港町よ!!」
「これが港…これが…海…!」
『幸村お兄ちゃん嬉しそうだね!』
「甲斐の国…旦那と俺様の故郷は山に囲まれた内陸の土地だからね、海を見るのは初めてなんだよ」
「その割には佐助反応薄いわね?」
「そこはほら、俺様忍だから。任務でよく他国行くから初めてじゃないんだよ」
「成程ねー」
「鏡華、早く船着き場に行かねえと船が出ちまうんじゃねぇか?」
「あ、そうだった。それじゃあ皆、行くよ!」

うおおおおっ!見ていて下され!お館様ぁぁぁっ!!この幸村、必ずや鏡華殿のお役に立ってみせまするぅぅぅっ!!





「Wonderful!こんな速い船、向こうじゃ拝めねぇよ!!」
「長曽我部と毛利が欲しがりそうですな」
「誰それ」
「両方共水軍を率いる武将だ。…確かにあの二人、特に長曽我部の野郎が欲しがるな絶対」
『そんな事より…あれどうにかならないか?』

黒月殿の声が聞こえると鏡華殿達の視線が某に集まるのを感じた。
しかしその姿は見えない。

「う゛ぅ…気持ち悪いでござる…」
『幸村お兄ちゃん…大丈夫…?』

何故なら…某は生まれて初めての海に負けているからでござる…

「こりゃ船酔いだねー。旦那、初めての海だからってはしゃぎ過ぎ」

ち、違う!某は只鏡華殿に迷惑を掛けないようにと気合いを入れていただけで決してはしゃいでなど…
そう言おうとするがこみ上げる吐き気に遮られ、船の縁(へり)に突っ伏してしまう。

「Ah…幸村?Are you OK??」

政宗殿…某…異国語は分からないでござる…

「こりゃ部屋で休んでた方が良さげだねー。幸村、歩ける?一緒に部屋戻ろうか??」
「大丈夫…一人で戻れます故鏡華殿はお好きな様に過ごして下され」
「そう?なら良いけど…無理はしないでよ??」
『キョウカ様、私が付き添います』
「頼むわ、ミナミ。…あ、くれぐれもモンスターボール持ってる人と目ぇ合わせないようにね!トレーナーだと勘違いされてバトル申し込まれちゃうから」
「分かったでござるぅ…」

鏡華殿に迷惑を掛けないとお館様に誓った矢先のこの失態…某…自分が情けない…
そう気持ちを沈ませながら若干ふらつきつつ部屋へ向かうと、腰に鏡華殿と同じ『もんすたーぼーる』を着けた少年が近付いて来た。
…しまった!目を合わせてしまったでござる!!

「ねえ、そのシャワーズお兄さんの?」
「否、この子は「凄く良い育ち方してるね!どう、僕とバトルしない?」友人のぽけもんで…」
「少し借りる位大丈夫だって!ずっと船の上で退屈なんだ、頼むよー!」
「しかし…」

魅波殿は争いを好まぬ気性だと鏡華殿が言っていた。
更に某はぽけもんを使った戦いの経験が無い。きっと負けて魅波殿に傷を負わせてしまう…
それに鏡華殿は自分と黒月殿は赤子の頃から一緒に育った兄弟同然の大事な家族だと言っていた。だから黒月殿の家族は自分の家族なのだと。
…恩人の家族を傷付ける訳にはいかない。例え敵に背を向ける事になろうとも、この戦いは断ろう。

『幸村さん。この勝負、受けて下さい』
「魅波殿?!」

そう思い口を開きかけた矢先、某にしか聞こえない位小さな声で魅波殿が呟いた。

『わ、私だって元ジョウトチャンピオンのポケモンです。た、確かにバトルはあんまり好きじゃないけど…でも退いちゃいけない時がある事位は分かっているつもりです。『挑まれたバトルは受けるのが礼儀』とも言いますしね』
「魅波殿…」
『それに…





幸村さんのこんな真っ青な顔色を見ても当たり前の様にバトルを申し込むお馬鹿さんにはお仕置きが必要ですから★』

…そう愛らしい声で言う魅波殿の目は氷属性の雪弥殿の如く冷たかった。
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