ポップン単発夢

□プレゼントは二つ
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12月25日クリスマス。
それは神様の誕生日であると同時に私の誕生日。
だからプレゼントもケーキも一纏め。今までずっとそうだったし、これからもずっとそうだと思ってた。
でも今年からは違うの。
だって…





「よぉ律夏お疲れ、良いライブだったな」
「あ、DTO先生」

所属する軽音楽部が開催した毎年恒例のクリスマスライブが終わり、片付けをして引き上げようとした時、私の担当兼部活顧問であるDTO先生が声を掛けてきた。
もっとも、実際はそれだけでは無いのだけれど…

「違うだろ、学校と部活が終わったら?」
「…だってまだ学校の中よ?誰が見てるか分からないじゃない、修」

そう、私と修は恋人同士。勿論周りには内緒の。
知ってるのは私の両親と校長兼理事長、『千里眼で地獄耳。心も読めるから隠し事なんて無駄だぜー♪』な神様ことMZD、それからデート現場を目撃したが為に修に力ずくで口止めされたハジメ先生だ。

「そんな事言いながらしっかり名前で呼んでるじゃねーか…。これから時間あるか?」
「無きゃおかしいでしょ。修と一緒に過ごす為にライブの打ち上げ兼クリスマスパーティーも蹴ってここにいるのよ?」

そりゃそーだ、と笑いながら私の頭をクシャクシャと撫でる。
普段は英語教師としてチョークを持ち、Des-ROW・組のメンバーとしてファンの為にギターを握るその大きな手が今は自分だけの物なのだと思うと嬉しいと同時に照れ臭くてつい顔を赤らめ俯いてしまう。

「よし、じゃあ俺様の車まで行くか」
「うん」

教師用の駐車場にある修の車に乗ると修が何かを渡してきた。

「何コレ…?」
「何ってアイマスク」
「いや、それは見れば分かるけどさ」

職員室にプリント提出しに行った時に修がコレ着けて寝てるの見たし。

「って言うかこんなん着けさせてどうするの」
「それは後のお楽しみって奴だ。おっとそうだ、コレも着けとけ」

続いて耳に修が授業中も着けている愛用のヘッドフォンが被せられ、聴こえるのは修のデス声とゴリゴリのギター音だけになった。
仕方ないので言われた通りにアイマスクを着け車に揺られる事数十分。
車は止まり、修が私の手を取って車から降りるのを手伝ってくれる。
手を繋いだまま歩き、また暫くすると足下に段差。転びかけたが修が助けてくれた。
一体私は今どのような状況にいるのだろう。
いい加減不安になり始めた時、どこかに座らされてヘッドフォンが外され修の声がした。

「もう良いぜ、アイマスク外しても」

アイマスクを外し、周りを見ると私達がいるのは街からやや離れた場所に建つ遊園地の観覧車の中だった。
そして真下に見えるのはイルミネーション鮮やかな夜景。

「うわぁー…」
「どうだ?俺様からのクリスマスプレゼントは」
「凄く…綺麗」
「喜んで貰えたようだな。じゃあ今度はコッチだ」
「え?まだ何かあるの?」

珍しく照れた表情で修が差し出したのは小さな箱。中身は…

「コレって…!」
「誕生日プレゼント。…卒業したら迎えに行くから、予約」
「…うん!」

図らずも丁度一番上に来ていた私達は観覧車の中で約束の証にキスをした。

12月25日クリスマス。
それは神様の誕生日であると同時に私の誕生日。
だからプレゼントもケーキも一纏め。今までずっとそうだったし、これからもずっとそうだと思ってた。
でも今年からは違うの。
だって…
世界で一番大好きな貴方がクリスマスプレゼントと一緒に愛情と言う名の素敵な誕生日プレゼントをくれるから。
ね?修♪







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