ポップン単発夢

□苦さと愛は99%、砂糖と嫌がらせは1%
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明日はバレンタインデー。
恋人達の甘い記念日。
なのに…
何で仕事入れるかなあ!?

ヒューの阿呆ーっ!!
「律夏!?」

叫びながら工場を背にして駆け出す。後ろから私を呼ぶ声がするが気にするもんか。
私の彼氏、ヒューは整備士。整備工場に住み込みで働いている。
本当なら明日はバレンタインデーと言う事で甘い物が苦手なヒューの為、チョコを渡さない代わりに仕事を休んでデートする予定だったのだが…

「明日急ぎの依頼が入ってさ、本当ごめん!今度絶対埋め合わせするから…」

と言う台詞の後が冒頭の叫びに至ったりする。

「…今度じゃ意味無いんだよ馬鹿…」

呟きながらトボトボと歩いていると目に入ったのはチョコが沢山並んだお店。

「チョコのやけ食いでもしよーかな…」

ふらりと中に入ればよく見るメーカーの物やどこの国か分からない文字が箱に書いてある物まで様々な種類のチョコがお出迎えしてくれた。

「何か最近は色んなのがあるんだなぁ…ん?」

あるチョコの前で足が止まる。

「コレって…」

コレなら甘い物が苦手なヒューでも食べれるかも。
…軽く嫌がらせ入るけど。

「チョコ渡せないからデートだったんだし、デートが駄目なんだからチョコ渡しても構わないわよね?」

そう考えて私は棚からそのチョコを取り出してレジに向かった。





次の日…

「さてと、チョコ作ったは良いけど…」

昨日の今日だし…渡しづらいなぁ…
どうした物かと工場前で立ち往生していたら手にしていた筈のチョコが消え失せていた。

「えっ!嘘、どこ行った!?」

辺りを探すと包みを持って走る小さな影二つ、って…

「あ、ちょっ!トビィィィーズ!!

犯人は工場に住み着く二人(二匹か?)、トビーズ。
慌てて後を追い掛けるがコレが中々すばしっこくて捕まらない。

「律夏!?何やってるんだよ?」

進路上にヒュー発見。

「ヒュー!トビーズが私の荷物持って逃げ回ってるの!!」
「こら!駄目だろトビーズ、人の物勝手に持って行ったら…?」

トビーズはヒューを避けて逃げるかと思いきやあっさりチョコを渡してどこかに行ってしまった。
ひょっとして私が迷ってるの分かって後押ししてくれた?
…まさかね。

「はいコレ、もう持って行かれるなよ」
「良いよそのまま持ってて…元々ヒューにあげようとした物だし。今日が何の日か位分かるでしょ?」
「じゃあコレ…」
「チョコ…一応…仲直りの印…。でも無理しなくて良いから、私が作りたかっただけだ…あ」

言い終わるよりも早くヒューは包みを開けてチョコを口に運ぶ。
あーあ…知ーらないっと。

「律夏…本当にチョコなのか?何て言うか…その…何だ…?」
「苦いでしょ?当たり前よねーカカオ99%の奴使ったし
「何で仲直りの印が激苦チョコなんだよ!」
「ヒューが甘い物苦手だからいっその事苦くしてみようかと。後は…」
「後は?」
「デート無しにしたお返し♪」
「苦過ぎだ!絶っ対割に合わない!お前も食ってみろ!!」
「無理だよー、だって今ヒューが食べちゃったじゃ「じゃあこうやって食わせる!!」

次の瞬間、目の前にヒューの顔。
そして口に広がる言葉じゃ言い表せない苦さ。
早い話が口移しで食わされた。

「〜〜〜〜!!??」
「お、今苦いのちょっとマシに思えた」

お前とのキスが甘いからかな?なんて歯の浮く台詞をさらっと言ってのける恋人に

阿呆かーっ!!

と天高く届く声で叫んだ。
私も同じ事を思ってたなんて口が裂けても言えやしない。







後書き

ヒュー兄さん軽く変態入ってすいません。全国のヒュー好き皆様に謝罪致します。

そして何よりバレンタインデーぶっちぎりで過ぎまくって申し訳ありません!!

遅れたお詫びと言っては何ですが、こんな駄文でよろしければお持ち帰りどうぞ。ホワイトデー兼用で3月までの配布にしようかと思ってます(手ぇ抜くな)。

もし不都合でなければお持ち帰り報告等『拍手』か『掲示板』にいただけると嬉しいです。別にご報告無くてもOKです。

読んで下さってありがとうございました!



柚樹

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