ポップン単発夢

□YES以外の答えは認めませんが
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「先生ー!律夏先生ー!!」
「どうしたのハヤト君?」
「体育の授業中に倒れた人がいるんです。今クラスの男子が連れて来ますので看て下さい!」
「分かったわ。で、誰が倒れたの?」
「ハジメ先生です!」
「………………え?」

それが全ての始まりだった。

「おそらく栄養不足による貧血ですね。ハジメ先生、ちゃんと三食食べてますか?」
「勿論ですよ!ダイエットしてる女子じゃあるまいし…」
「ちなみに今朝は何食べました?」
「メロンパンです!」
「(やっぱり…)じゃあ昨日の夕飯は?」
「メロンパンです!」
「(え…?)…まさか…昨日の昼食も…?」
「はい、メロンパンでした!」
「ハジメ先生………ちょっとそこ正座しなさい





そんな嘘みたいだけど本当にあった馬鹿馬鹿しいやり取りをまるで昨日の事の様に思い出しながら目の前の陳列棚から野菜を手に取った。
元々友人から「あんたは私の母親か?!」と言われる程に世話焼きな性格をしている私。
実はそれからというもの最低でも週に一回はこの偏食体育教師のアパートまでわざわざ押し掛けて栄養バランスばっちりの食事を作りに行ってたりする。
…まあ、実際は自分の性格だけではなく別の理由もあったりするのだが。

ピンポーン

「私ですー、開けて下さーい」

私がそう言うとドタドタドタ…と凄まじい音が室内から聞こえてきた。

ガチャン

「どーもお待たせしました!」
「ハジメ先生…そんなに慌てなくても返事が無いから回れ右なんて非情な事しませんよ私」
「い、いや違うんですよ!律夏先生の料理美味いから楽しみでつい…」
「ふふっ、じゃあお邪魔します」





「いっただきまーっす!」
「はい、どうぞ」

数十分後、今私達は出来上がった料理を共に囲んでいる。
この家…というか部屋も最初は酷かった。カオスってこういう物かと思った位だ。
特に台所はパーティー用のプロフィールで食器洗いが嫌いだと公言しているだけあって…いや止めとこう、思い出したら目眩が…

「いやー!やっぱり律夏先生の料理は最高ですね!!…?どうしたんですか、浮かない顔して」
「いいえ、何でも無いですよ?」

不意に聞こえてきたハジメ先生の声によって現実に引き戻され再びおかずに箸を伸ばそうとした…が、

「そういえば律夏先生って彼氏いるんですか?」

ガッシャン!!

突然訊かれた質問の内容に思わず卓袱台に突っ伏してしまった。

「律夏先生?!」
「何でも無いです…!」
「いや、でも今思い切り頭ぶつけ「な・ん・で・も・な・い・で・す」そ、そうですか?なら良いんですけど…」

いやもう本当にね?鈍いにも程がありますよ!
…こうなりゃ自棄だ、押して押して押しまくってやる。

「えっと、質問の答えですけど…いません。第一彼氏いたらこんなしょっちゅう来ないです」
「あ、それもそっか…じゃあこれから律夏先生の彼氏になる人は幸せ者ですね、こんな美味い料理食えるなんて羨ましいですよ」
「…羨ましくならないで済む方法、一つだけありますよ?」
「へ?」
「なれば良いんです。私の彼氏に、ハジメ先生が。って言うか私ハジメ先生が好きなんで彼氏になって下さい」
「え…?





…ええぇぇっ?!

ああもう、告白一つで真っ赤になって狼狽えるとか貴方どんだけ純情なんですか。

「マ、マジっすか…?」
「マジもマジ大マジです」

穴があったら入りたい位恥ずかしいのを我慢して真顔で言い切ってから深呼吸。
うん大丈夫、今なら言える。

「あのね、幾ら私が世話焼きな性格で貴方の食生活がダメダメだからって普通こんなに何回も食事作りに来ませんって。全部ハジメ先生への愛あればこそ、ですよ?」

そしてもう一度深呼吸してから真っ赤な顔のまま固まってしまった彼に問う。

「…それで?私は貴方の彼女にしてもらえるんでしょうか??」





YES以外の答えは認めませんが
そう言うとか細い声で「よろしくお願いします…」と返事が返って来た



(「いない」って言ったら機会見計らって告白しようと思ってたんだぞ?それなのにお前に先越されて…)
(そんな真実を聞かされたのは左薬指に付ける指輪を貰ってから)






後書き
そんな訳で囃子様へお誕生日祝い&進路決定記念で捧げるハジメ先生です。こんなので宜しければどうぞお納め下さい!
この度は本当におめでとうございます!!

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