ポップン単発夢

□サクラ咲け
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「う゛〜…こんな問題分かる訳無いじゃんかよぉ!」
「はいはい、口動かす暇あったら手動かして。あと三十問だよ」
「ハヤトの鬼!悪魔!!」
「その悪魔に勉強見てくれって泣きついてきたのはどこの誰だっけ?」
「…私です」
「でしょ?分かったらホラ、さっさとやる」
「はぁ〜い…」
「あ、そうだ。報酬のアイス忘れないでよ?」
言われなくても分かってるわよ!!

そう半ば自棄気味に叫んでから再び問題集とにらめっこ。
私に無理難題を押し付けた張本人は本棚から漫画を取り出し隣に座って読書中。
畜生、涼しい顔しやがって。何で私こんな奴が好きなんだろう?片想いだけどね!
ハヤトと私は世間一般で言う所の幼馴染みって奴だ。家が近く、親同士も仲が良かった。
小学校まではよく一緒に通学したり遊びに行ったりしていたけど…中学に上がる頃、ハヤトは神様に音楽の才能を見込まれて本来通うはずだった中学に入らずポップン学園に通う事になった。
今じゃ音楽業界でもトップクラスの実力を誇る『Des-ROW・組』のメンバー。
私はと言うとそのまま普通の中学に通う事になって、最初はハヤトの芸能界入りを祝いもしたけど月日が経つに連れて寂しくなって。かと言って彼女でも無いからそんな簡単に会える訳も無くて。
またハヤトの隣で同じ通学路を歩きたい。
その気持ちだけでポップン学園高等部の外部受験を決意したは良いけどあの学校ある意味一芸入試だからね、それ以外の志願者はとてつもなく高レベルな試験が待ち構えているんだよ。
だから中等部で主席だって言うハヤトに頼み込み、今ハヤトが居候しているDes組の皆さんの家に押し掛けて勉強教えてもらってるんだけど…全然はかどらない。
こんなんで合格出来るのかな…。
ま、合格しても告白する気は無いけどね。フラれて顔を合わせるのが気まずくなるのだけは嫌だ。
例え想いが届かなくても良い。ただ一緒に通学出来るだけで私は満足だ。

「そう言えば律夏は何でうちの高等部受けようなんて思ったの?一応そっちの中学じゃトップなんだろ?学校選びたい放題なのに『絶対ポップン学園が良い!ポップン学園じゃなきゃ嫌!!』って言い続けてるっておばさんが言ってたよ」
「え゛!?」

くそう母さんめ余計な事を!ハヤト無駄に勘が良いから好きだって事がバレたら台無しじゃないか!!

「あー、ほら、あの神様今度あの学校に大学部作るって話じゃん?受かれば大学までエスカレーターだから楽だなーって思っ「嘘」へ?」
「律夏、嘘つくと手いじる癖あるでしょ。今動きまくってる」

…マジか…自覚無かったわ…

「まあ良いけどね、本当はもう律夏の志望理由知ってるし」
「嘘?!じゃあ私がハヤトの事好きなのも知って「うん、嘘」はぁあ?!」

何よそれ…
…って私今勢いで告白紛いの台詞言わなかった?!
うわハヤトすっごい良い笑顔でこっち見てるよ!!

「こう言えば律夏が引っ掛かってくれるかなって思ったら…予想以上に上手くいったね。…ところで今言ってくれた事、律夏が早口過ぎて良く聞き取れ無かったんだけどもう一回言ってくれる?今度はゆっくりはっきりとね★

は…嵌められた…
でも…(地獄)耳の良いハヤトが聞き逃すなんて事まず無いだろうから『もう一回言って』なんて言うと期待…しちゃうよ…?

「…ハヤトのばーか…」
「違うだろ」
「腹黒大魔王」
「何を今更」
「…でも大好き」
「はい、良く出来ました♪あ、そうそう僕も好きだよ?」

そう褒めるついでみたいな返事を言うと耳まで真っ赤になった私の頭を自分の肩まで持ってきて撫でてくる。

「ずーっと待ってたんだからね?律夏が告白してくれるの」
「何?自分から言おうとは思わなかった訳??」
「だって『惚れた方が負け』って言うじゃない?先に言ったら負けって気がしてさ、僕負けるの嫌だし」
「何それ」

そんな理由で私達今まで幼馴染み止まりだったの?

「でもコレで晴れて恋人でしょ?後は律夏がウチに合格するだけ」
「そりゃそうだけどさ…」
「機嫌直してよ。はいコレ、告白出来たご褒美兼合格するようにおまじない」

チュ

「!?」

額に柔らかい感触とリップ音を感じ、慌てて顔を上げればまたしてもしてやったり顔をしたハヤト。

「口にするのは合格祝いに…ね♪」

引いたと思った顔の熱がまた上がってきた。
こんなおまじないされたんじゃ合格するしかないでしょうが。
彼と通学する為に
ずっと一緒にいる為に
どうか私にサクラ咲け





おまけ

その後も勉強そっちのけでしばらく寄り掛かったままでいたら…

ガチャン

「ハヤトー、律夏ちゃーん。飲み物持ってきてやったぞ…ってゴメン!お邪魔だった…か?」
「律夏、勉強進めてなよ。リュータ先輩、ちょっと来てもらっても良いですか?」

そう爽やかな笑顔で言うとリュータさんと一緒に部屋の外に向かうハヤト。
さようなら甘い時間。
そしてこんにちはリュータさんの断末魔。







後書き

相互記念で七荏遊迂様からリクエスト頂いた『腹黒ハヤト甘夢』でした。あ、甘くなってるかしら…?それ以前にちゃんとハヤト黒く出来たかしら!?(まずそこからかい)

七荏遊迂様のみお持ち帰り・苦情・返品可能でございます!相互感謝!これからもよろしくお願いします!!



柚樹
 

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