雨夜ノ星

□一旦認めたら、後は流れるように理解できるものだったりする。
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「君の血は希少価値がある。」


絶滅したはずの種族―。

それも希少価値の高い天人の娘。まるで、珍しい物を手に入れたような気分だった。

元老も笑ってしまいたくなるほど喜び、多少の事は大目に見てくれるようになったのだ。さらにはその手柄で、活動資金も大幅にアップしたのである。


(初孫を喜ぶジジイかっての。)


そしてその際に、スーを引き渡すように言ってきたが神威は断ったのだ。せっかく見つけた面白い玩具を、そう易々と渡すわけがない。
阿伏兎がなんとか元老を説得し、第七師団の自分の部下として入団させたのだ。所在なさ気に立って待っていたスーの手を引いて、空いている部屋へと案内する。


「ここが君の部屋だよ。最低限の物しかないけど、必要な物があったら阿伏兎に頼めばいいから。」


「ありがとうございます。」


「悪いけど、今はこれに着替えてくれる?その汚れた着物は捨てるといい。」


土や血で汚れた、オレンジ色の着物。着の身着のままだった彼女に私物はなく、かといって海賊集団に女物の服があるわけもない。

とりあえずサイズが小さくなり、着なくなった自分の古着を渡した。後日、服よりも先に届くのは様々な星から集めた薬事道具や薬草。そして関連書物。

当初のスーは上から指示のあった薬をひたすら作り、暇さえあれば本を読み耽っていた。

神威はそれに対してとやかく言う気はない。努力する人間は好きだからだ。

しかし真面目すぎるのか、休みを取るのがとにかく下手なのである。自分達が気付かないと、食事を摂るのも忘れてしまうのだ。



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