紅の死神

□守りたいもの
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神田達と別れたアレン達は、嵐により足止めをくっていた。

ララの中にあったイノセンスを見ると思い出す。神田や蓮華は二人の願いに全く無関心だったわけではないが、任務を全うしようとしたのだ。
それが、間違っているわけではない。むしろ任務を任された身で命令違反をしたのは自分である。

それでも、納得が出来なかったのだ。


「…神田や蓮華は、どうして切り捨てていけるんでしょうか。」


向かいの席に座るトマに話し掛ければ、トマは答えた。


「守りたいものが、あるからではないでしょうか。」


「守りたいもの…?」


「…話をしましょうか、四年前の事を。知り合いの探索部隊から聞いた話です。

フランスのある森に、赤い翼を生やした死神がいるとの奇怪話が噂になっていました。
その報告を受けて向かったエクソシストは、神田殿だったのです。
当初はAKUMAと思われていた死神は、幼い少女でした。長い赤髪を、翼と見間違えたのでしょう。」


「赤髪って…。」


「そうです。その時の死神は、蓮華殿だったのです。
名前もわからず、知識も殆ど知らない状態だったそうで。
あの赤い髪に大きな鎌のイノセンスは、村人達には恐怖だったようです。」


蓮華は村人が自分を恐れる事を利用して、イノセンスに寄ってくるAKUMAから村人を守る為に森に近づかせなかったのだ。


「たった一人で背負った代償は、なんともやるせないもので…死神と罵られ続けたのです。

探索部隊がそれをいくら村人に説明しても、化け物に変わりはないと…。」



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