雨夜ノ星

□TPOって大事って言われるけど、要は空気を読めってことだよね。
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「なんかスーが俺以外の奴と仲良くしてると、イライラするんだよ。」


「団長様が嫉妬たぁ、恐ろしいこった。」


「ちなみその対象に、阿伏兎も入ってるから。」


「いやいや、俺はそういうふうに見てないからね。おじさんだからね。」


「逆に、若い女がいいんじゃないの?」


疑いの目を向ける神威に、阿伏兎は手を振って否定しながらお茶を飲む。


「だからってスーは若い。若すぎる。
俺からしたら、女っていうよりも嬢ちゃんだ。」


「ふーん?ならいいけど。俺、他人に好かれたことがないからよくわからないんだ。
どうでもいい女ばっか、寄ってくるんだよね。嫌になるよ。」


「あーはいはい。」


確かに顔だけは良い為に、モテるのなんの。
暇潰しに手を出したらポイの色魔だったが、最近は自重しているらしい。
既に食べ終えた皿を箸で叩く神威は、頬杖をついた。


「俺って、スーの好みじゃないのかな?スーってどういうのがいいんだろう?」


「まさか、お前さんがスーの好みになる…とか…?」


「いや?スーの好みに該当する奴を、片っ端から殺しちゃおっかなって。」


「それはやり過ぎだ。」


「そうすれば、最終的に俺しか残らないだろう?」


「それは病んでる奴の言うことだ。」


「うるさいな。じゃあ阿伏兎が考えなよ。」


「とりあえず、直接好み聞いて来いよ。まずはそれからだ。」


「で、根絶やしに…。」


「しちゃ駄目だからな。」


「ちぇー。」


「いらん騒ぎを起こさんでくれや。」


まあ、行ってくるよ。と、ダイニングを出て行った神威が戻ってきたのは、阿伏兎が魚を食べ終えた頃だった。
魚の小骨が多くて、食べづらかったらしい。


「牛乳プリンだってさ。」


「は?」


「まいったね、俺も好きなんだけど。ていうか、何から潰せばいいの?
牛?工場?作業員?あ、牛は困るなーどうしよう。」


「待て待て待てェエェ!」



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