雨夜ノ星
□人には、見合ったポジションがある。
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「阿伏兎さん、大丈夫ですか…?」
「ああ…。」
阿伏兎の部屋にて、看病するのは外ならぬスーだ。そう、日々団長の起こす問題だの、上からの激励という名の厭味を処理していた彼。精神が疲れれば体力も奪われる。
昨夜、食事に来ない阿伏兎を心配して部屋を訪ねたスーにより、机に伏せて気絶していたのを発見されたのだ。
筆記具を握り締めたまま意識を失った阿伏兎からは、その執念がひしひしと伝わる。
「頭痛は治まりましたか?」
「まだ少し、な。」
白い肌が青白く見え、溜め息をついた。どうしてそうも見栄を張るのか。
「俯せになってください。血行が悪くなってるみたいです。」
俯せになった阿伏兎の首と頭の付け根から肩までをマッサージし、血行を良くするように体を揉みほぐしていく。
「ゔーあ゙ー。」
「全く…疲れが溜まったら言ってくださいと言ったじゃないですか。」
「仕事はこっちの体に合わせてきちゃくれないんだよ。」
(スーを一人占めするなとか、団長もうるせーし…。)
「本当…びっくりしましたよ。白目剥いてたんですから。」
「マジでか。」
「つまんないなースーが構ってくれなーい。」
傍らで椅子に座りながら、ガタガタと木馬のようにして遊ぶ神威にスーはため息をついた。
「もう、神威さんったら。阿伏兎さんは過労で倒れちゃったんですよ?」
「仕事のできる奴はガス抜きも上手なんだろー?あ、スーも下手だったね。」
「ガス抜きも休日が無ければできません。阿伏兎さんは最近ほぼ24時間営業なんですから、倒れて当然です!」
「コンビニみたいな言い方やめてくんない?」