雨夜ノ星
□人には、見合ったポジションがある。
3ページ/6ページ
「とにかく、今日は阿伏兎さんの看病で忙しいですから。いい子にしててください。」
「言うことが母親みたいだね。じゃあ、俺も何か手伝うよ。」
「ありがとうございます!では、冷えピッタンを持って来てくれますか?」
「りょーかい。」
椅子から降りて部屋を出て行った神威を目線で見送ると、スーは俯いた。
「…本当に申し訳ありません。阿伏兎さんにばかり負担が掛かって、私は何も手伝うこともできず…。」
「気にすんな。あの人の尻拭いばかりだが、それでも辞めないのは俺の意志だ。」
「でも…。」
「まあ聞け。ちゃらんぽらんな団長がいて、フォロー役の俺。んでもって、疲れちまったらこうして看病してくれるスーがいて。
ちゃーんとうまいこと回ってる。俺達、結構いいチームじゃねぇか。」
な?と阿伏兎がスーの頭に手をぽんと置けば、その目にじわりと涙が滲んだ。
そのまま掛け布団にしがみつくように、顔を埋める。
「っあぶ、阿伏兎さぁああんんんっ死んじゃ駄目ですー!」
「死なないからね?」
まるで不治の病にかかった主人公が登場する、ドラマのワンシーンのようだ。不吉な台詞に阿伏兎はすかさず突っ込む。
「ひぐ…っわかってます!私が言いたいのはっ阿伏兎さんは死んじゃ駄目な人ってことですよ!」
「あーはいはい。頼むから泣き止んでくれ。団長に殺される。」