太陽と月の土壇場
□銀魂高校3年Z組。
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しかし、その衝動に駆られた男が一人。
「翡翠はホント、可愛いね。」
ムギューッと後ろから抱きしめる神威は、やわらかーいなどと言いながら翡翠の頭や体を撫で回していた。
「猥褻罪で逮捕されてーのか…!」
「学生が何言ってんのさ?」
「現行犯なら、一般人でも逮捕できんだよ色白野郎。」
「嫉妬なんてうざいよ?ヘ・タ・レ江戸弁くん。」
「チャイナの家系は、俺をいらつかせる血筋なのかィ?」
「アイツと一緒に纏めて、そう呼ぶのはやめてほしいんだけど。」
今度は目を開いた神威と、バチバチと火花を散らしながらの睨み合う。その状況がよくわかっていない翡翠は、神威の腕の中から時計を見た。
「もうそろそろ授業が始まりますの。席に着きましょう。」
「うん、そうだね。」
「オイ。」
「何?早く席に着きなよ。」
「あ…あの、これでは神威さんがお勉強できませんよ?」
翡翠を抱き締めたまま、自分の膝に乗せている神威に総悟は瞳孔ガン開きだ。
「いいんだよ。俺達は保健体育の勉強だから。」
「保健体育の授業は明日ですよ?」
「じゃあ…明日の3時間目に、保健室に来てくれる?」
神威は翡翠の髪に指を絡ませながら、耳元で囁く。普通の女子ならノックアウトだろう。
しかし普通ではない翡翠は、にっこりと返した。
「明日の保健体育の授業は、視聴覚室ですよ。」