紅の死神

□紅の死神
1ページ/17ページ




自分はどこから来たのか、


自分の名すらわからない。



覚えているのは…気味の悪い


誰かの笑い声だった。




「―…。」


冷たい温度に目を覚ませば、バシャリと水の感触を感じた。

痛む体に呻きながら起き上がれば、視界を掠める赤。

自分の周りに広がる赤を無意識に掬い上げれば、それは自身の髪だと知る。

裂けた皮膚から流れる液体と同じ色。辺りを見回せど、誰一人いない。


木々に囲まれた暗い場所、そこに自分が知る物はなくて。


「此処は…どこ…?」


見上げた空に、星一つない夜

狂った物語(シナリオ)の歯車が、誰に知られることなく…

静かに、動き出した。



次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ