紅の死神
□紅の死神
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自分はどこから来たのか、
自分の名すらわからない。
覚えているのは…気味の悪い
誰かの笑い声だった。
「―…。」
冷たい温度に目を覚ませば、バシャリと水の感触を感じた。
痛む体に呻きながら起き上がれば、視界を掠める赤。
自分の周りに広がる赤を無意識に掬い上げれば、それは自身の髪だと知る。
裂けた皮膚から流れる液体と同じ色。辺りを見回せど、誰一人いない。
木々に囲まれた暗い場所、そこに自分が知る物はなくて。
「此処は…どこ…?」
見上げた空に、星一つない夜
狂った物語(シナリオ)の歯車が、誰に知られることなく…
静かに、動き出した。