紅の死神
□土翁と空夜のアリア
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"古代都市マテール"
今はもう、無人化したこの町に亡霊が住んでいる―…
調査の発端は、地元の農民が語る奇怪伝説だった。
亡霊は、かつてのマテールの住人。町を捨て移住していった仲間達を怨み、その顔は恐ろしく醜やか。
孤独を癒すため、町に近づいた子供を引きずり込むと云う。
岩と乾燥の中で劣悪な生活をしていたマテールは、"神に見離された地"と呼ばれていた。
絶望に生きる民達は、それを忘れる為人形を造ったのである。
踊りを舞い、歌を奏でる快楽人形を。
だが結局人々は人形に飽き、外の世界へ移住。
置いていかれた人形は、それでもなお動き続けた。
五百年経った現在でも…
それがマテールの亡霊の正体だった。