紅の死神
□守りたいもの
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「結局、追い出されるように蓮華殿は黒の教団へやって来たのです。」
「ずっと一人で…。」
トマの言葉を繰り返したアレンは、自分が蓮華に言った言葉を思い出した。
"貴女は自分が孤独になった事がないからっそんなふうに言えるんです!!"
感情的になったとは言え、何も知らないのに言ってしまったのである。
アレン自身も孤独を味わった。だからこそ、二人を引き離す事が出来なかったのである。
簡単に引き離す事が出来る神田や蓮華は、孤独を味わった事がないのだと単純に思ってしまったのだ。
「…僕は、酷い事を言ってしまいました。何も知らないのに、知ったふうな事を…っ。」
「感情に任せて出た言葉だという事は、わかっていらっしゃいますよ。」
「…でも。」
「蓮華殿は確かに目付きは悪いですし、言葉遣いも良いとは言えません。」
「ト、トマ?」
「常に不機嫌そうに見えますが、必ずしも機嫌が悪いわけではないんですよ。
話し掛ければ、案外普通に答えてくれます。」
「え?」
「無表情だと不機嫌に見えるものです。蓮華殿は、無意識に表情を作るのが苦手のようでして。
蓮華殿も神田殿も、理解はされにくいですが根は優しい方なのですよ。
でなければ、命をかけてローズクロスを背負う事はないでしょうからね…。考え方が違っても、目標は皆さん同じ。
それでいいのではないでしょうか。」
「トマ…。」
「ちなみに、神田殿は名付け親なんです。」
「…へ?」
「名前もわからなかった少女に、【蓮華】と名付けたのです。
記憶を失っていた蓮華殿は、神田殿の事をまるで親のように慕っているのですよ。」
(親のように慕って…。)
"ユウにもしもの事があったなら、私はお前を絶対に許さなかった…!!"
(記憶を失ってしまった蓮華にとって、神田は特別に大切な人なんだ…。
今度会ったら、なんて言えばいいだろう?)
淡く光るイノセンスを見たアレンは、とにかく謝りたいと思ったのであった。
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