紅の死神
□鐘の鳴る音
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一晩中起きている蓮華は、意識のない神田を部屋に連れて行った後。修理作業の手伝いをしていた。
「蓮華〜次、こっち頼むわ。」
「わかった。」
リーバーの言葉に返事をすると、蓮華は木材を担いで次の場所へと飛び移って釘を打ちつける。
「いやぁ助かるよ。俺達じゃ、そこまでいけなくてな。」
「私は夜に寝れないから別にいいが、リーバー達は徹夜続きだろう?あんまり無理するな。」
普段デスクワークの科学班にとって高所での作業は危険なので、身軽な蓮華が全て請け負っていたのだ。
「俺達は慣れてるからいいんだよ。ありがとな。
そうそう。これが終わったらアレンの入団と初任務成功の祝いをするんだが、手伝ってくれるか?」
「これが終わったらな。」
素っ気なく答えていても、蓮華は作業の動きを早めた。そんな蓮華に口元が緩むリーバーも、早く終わらせる為に手を動かす。
(初任務成功…か。)
アレンの初任務。それは、あの砂と瓦礫の街での事。蓮華は釘を打ち付けていた金づちを止めた。
"ありがとう。壊れるまで歌わせてくれて。
これで約束が守れたわ。"
耳に残っていたララの言葉に、蓮華は金づちの柄を握り締める。
(アイツはララの願いを叶え、グゾルも救った…。形は違っても、あれがきっと二人の望んだ最期だった。)
「私は救えなかったのに…言い過ぎたな…。」