紅の死神
□鐘の鳴る音
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ロッキングチェアで編み物をしながら、千年伯爵はゆらゆらと揺れている。暖炉の前で見るその光景は、なんとも穏やかなものだ。
そんな千年伯爵の前に、シルクハットを被った男が現れた。
「おかえりなさイ、ティキぽん。お仕事お疲れ様デス。」
「ただいま千年公。良い知らせがありますよ。前から捜すように言われてた人物を見つけました。」
「何ですっテ!?」
ティキぽんと呼ばれた男の言葉に、千年伯爵は編み物の手を止める。あまりの驚きに立ち上がった千年伯爵の帽子から、乗せていた毛糸の玉が転がり落ちた。
「千年公が捜していた女の子。帰りの列車でバッタリとね。」
男が懐から出してテーブルの上に置いたカードには、幼い少女が写っている。
「千年公から聞いた印象と、だいぶ違いましたよ?すごい気が強くて、腕を折られかけましたから。」
「ティキぽんが、変な事でもしたんじゃないんデスカ?」
「変態扱いしないでくださいよ。」
(あながち間違ってなくもないけどね…。)
「それにしても、やはり生きていましたカ。喜ばしい事デス。どうして連れてこなかったのですカ?」
「エクソシストなんスよ、その娘。黒い団服を着てました。」
「何ですっテ!!?にっくき神め…っ早く偽の神から救い出さなければいけまセン。」
「救い出すって…こっち側に連れてくるんスか?」
「そうデス。でないと、大変な事になってしまいマス。
お迎えに行かなければなりませんネ。」
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