紅の死神
□夢の終わり
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眠気覚ましに廊下を歩いていたラビは、窓に流れる雨で外が見えない光景に驚きの声を上げた。
「うひゃあ〜ヒデェ雨さ」
「あらラビ、今起きたの?」
科学班へコーヒーを運んでリナリーは、窓を見上げるラビに声を掛ける。
「いやぁ、このところ徹夜続きだったし。帰った後からずっと、爆睡してたみたいさ。」
「私も今日の夕方に帰ってきたのよ。ハズレだったけどね。」
「こっちもハズレさ。不思議な白い闘牛がいるって駆け付けたら、遺伝子変異だったってオチさ。
それよりホント凄い雨だな…。なんか、嫌な予感がするさ。」
「もう、本当に不吉な事が起きたらどうするの?」
「そりゃ勘弁してほしいさ。思い過ごしだといいんだけどな。
なんか明るい話でもするさ?」
「ええあるわよ。この間、新しいエクソシストが入団したの。
アレン君っていう優しくて礼儀正しい男の子で、きっとすぐ仲良くなれるわ。」
「へぇ〜で?今どこにいんの?任務?」
「今朝蓮華と、フランスへ任務に向かったらしいの。」
「あちゃー入れ違いさ?蓮華には夜中に会ったんだけどなぁ。」
「すぐに会え―…きゃっ」
トレーの取っ手部分の金具が外れたらしく、コーヒーを入れたマグカップが床に落ちて砕け散る。
黒い液体が廊下に広がる光景を、ラビは無言で見つめた。
「大変、全部割れちゃったわ。早く片さなきゃ。」
「…やっぱ、思い過ごしなんかじゃねぇかも。」
「え?」
「俺、悪い予感って外れた事ないんさ。」