紅の死神
□くたびれた紙飛行機
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(暗い空間は、私にとって楽なのに。どうして、こんなに胸が苦しいのか…。)
瞼を開いた目の前の鏡に映るのは、不敵に微笑むもうひとりの自分。
「お前が頭痛の原因か。」
《あら、ようやくゆっくりとお話出来ますのに。そんなことおっしゃらないでくださいな。》
「ふざけるな。頭の中でうるさいんだよ。しかも、その口調が気色悪い。」
《貴女こそ、口調が荒々しくってよ。もう少し、ソフトに接せられませんの?》
「は…っお前の方がよっぽど、いい性格してそうだがな。」
《まあ、保留しまして…。私はイヴと申します。》
「イヴ…お前は、もう一人の私なのか?」
《当たらずとも遠からずでしょうか?わかりやすく申し上げますと、私はダークマターによって生まれた新たな人格。
そして貴女は、イノセンスによって生まれた…新たな人格ですの。》
「は…?」
《アイリスの人格を基にした、人格が私達ですのよ。まあ基だと云っても、全く別の人格と云ってもいいでしょうね。》
「…つまり、私はアイリスじゃないと?」
《そうですわね。それと、貴女がイノセンスを発動すればするほど…ご自分の首を絞めていると、気づいていらっしゃいます?
心臓を特殊加工したダークマターに取り替えられたことは、思い出しましたわね?》
「ああ。」
《ダークマターとイノセンスは相反するもの。体の不調はその反発する力が原因ですわ。このままだと死にましてよ?》
「…だからなんだ。」
《まあ、死にたいんですの?》
「私はエクソシストだ。AKUMAを破壊するのが使命なんだよ。死ぬからって、闘うのをやめるものか。」
《その感情が、イノセンスが望んでいるものだということはご存知?》
「なんだと…?」
《貴女のその人格は、イノセンスによって出来ているとご説明致しましたでしょう?》
「イノセンスに、操られているとでも言いたいのか。」
《いいえ?それ以前の話ですわ。貴女はイノセンスに、忠実だと言っていますの。》
「私は…っ」
《死んでもよいのでしたら、体を明け渡していただけません?いい加減退屈してますの。》
「…お前だって、【アイリスの記憶】はあるはずだ。千年伯爵が憎くないのか!」