紅の死神
□Mind reset
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「お前らは誰だ?」
蓮華のその言葉に、神田の思考は停止した。
「何言ってるさっ蓮華!ラビさっわかるだろ!?」
ラビは蓮華の肩を掴んで激しく揺するが、蓮華は無表情のまま淡々と言う。
「"らび"?お前の名前か?知らんと言ってるだろ。離せ。」
掴んでいるラビの手を払い落とした蓮華は、辺りをまるで初めて見るかのように見回した。
「此処はどこなんだ?さっきから"れんげ"と言っているが、それは私の名前なのか?」
蓮華は冗談なんて言わない。ましてや、こんな趣味の悪い冗談なんて嫌いなのだ。
アレンは戸惑いながら、コムイへと目を向ける。
「…コムイさん、どういうことなんでしょう?外傷はないって、医療班の人が言っていたのにどうして…?」
「…蓮華ちゃん。これは何かな?」
コムイは近くにあった花瓶を指差した。それを見た蓮華は、見たままを答える。
「花瓶だ。」
「何をする為の物かな?」
「花を飾るんだろ?」
その他にもいくつか質問をしたコムイは、その場にいた四人を連れて室長室へ戻った。
「兄さん…。」
「確認したところ、どうやら知識は前のままのようだ。」
「人や場所に関してだけ、記憶を失したってことですか?」
「もう少し、早くに話しておくべきだったかもしれないね…。
蓮華ちゃんは、本当なら四年前に死んでいる筈だったんだ。」