太陽と月の土壇場
□銅仏宴?
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局長室。そこでは近藤と総悟が、向き合って座っていた。近藤は真剣な眼差しで、総悟へと語りかける。
「いいか総悟。翡翠ちゃんに払わせるような事は、絶対にさせちゃ駄目だぞ。お兄さんがお小遣いあげようね。」
「ガキ扱いはやめてくだせェ。」
「おっとスマン、スマン。だって嬉しいんだもんよ。なんてったって、総悟の初デートなんだからさ!」
「っ別に、デートなんかじゃありやせん!ただ行ったことないって…言いやしたし、泣かしちまった詫びなだけでさァ。」
頬を赤らめて目線をそらしながら、ムキになったように言う総悟に近藤はつい口元がにやけてしまう。
(素直じゃないなぁ…まァそこが総悟らしいけど。)
「…何にやついてるんでさァ。」
「っそんな事ないぞ!?うん!」
その時、少し離れた所から総悟を呼ぶ翡翠の声がする。どうやら、総悟を探し歩いているようだ。
「おっ翡翠ちゃんが探してるぞ!早く行ってこい!」
「行ってきまさァ。」
総悟は、腰を上げて局長室を出ていく。何故近藤は浮かれているのか、デートとは一体どういう事なのか。
それを知るには、記憶を遡る必要がある。それは3日前のことであった。