太陽と月の土壇場
□動物園デート
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「見たこともない動物が、たくさんいらっしゃいますね。」
「そうですねィ。」
園内で翡翠は、興味津々に目を輝かせている。しかし総悟は翡翠の見ていないところで、面白くなさそうに顔をしかめたり周りにガンつけていた。
それに気づいた近藤が、心配そうに呟く。
「…どうしたんだ?総悟の奴、やけに機嫌が悪そうだぞ。」
「原因は周りの野郎共だな。」
そう。総悟は楽しくて嬉しくて笑顔を振りまく翡翠に、見惚れる野郎共が気にくわないのである。
それ以上見るなら瞼を縫い付けたろうかと、殺気を込めて睨んでいるのだった。
「確かに翡翠ちゃんは、可愛いからなぁ。」
「昔っから、独占欲が強い奴だからな…。」
辺りを珍しそうに見回す翡翠に、近付いた総悟は口を開く。
「翡翠。」
「はい?」
「珍しいのはわかりまさァ。でもあんまりウロウロしてると、はぐれちまいますぜ。
手、繋ぎやしょう。」
「それは名案ですの。」
虫よけにと画策する総悟が手を差し延べると、翡翠は素直にその手を掴んだ。
それを見た近藤は、羨ましがるように叫ぶ。
「ちょっとちょっとォォ!手!手なんか繋いじゃったよォォ!?
俺なんかまだ、お妙さんと繋げた事ないのにぃぃぃ!!」
「うるせー…。」
土方は結局、近藤に付き合わされるのだった。