太陽と月の土壇場

□お偉方に御対面。
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警察本部の最上階。近藤の前には白髪のオールバックに、サングラスをかけた一見ヤクザのような風貌の男がいた。

警察庁長官、松平片栗虎である。


「今回、呼び出したのは他でもねぇ…。お前、屯所に素性もはっきりしねぇような女中を置いてやがるみてーじゃねぇか?」


「とっつぁん…翡翠ちゃんのことかい?行き倒れていたのを、総悟が保護したんだよ。
大丈夫だって。礼儀正しいし、よく働いてくれている。」


「馬鹿ヤロウ!!密偵だったらどうすんだコラァアア!!
とにかくこの目で確かめるかんな!オジサンの洞察力なめんなよっ!」


「はいはい…わかったよ。」


「んじゃ、明日にでも邪魔するぜ。」


そう言って、早々に帰された近藤は夜が明けるとその話を土方と総悟にした。


「…ということで、今日とっつぁんが翡翠ちゃんを見定めにくる。」


「マジですかィ?急なこった。」


局長室に呼び出された総悟と土方が、何事かと姿勢を正して座って聞く。その内容は、二人にとっても急なものだった。


「まあ、いつかは問い質されるだろうと思っていたが…如月には、もう伝えてあんのか?」


「知らせないように言われている。まずは、普段の様子を見るそうだ。」


「ほう…とっつぁんも警察のトップだな。小さな綻びも見逃さない姿勢は、感服もんだ。」


「…ま。あらぬ疑いは、早めに晴らすにかぎりまさァ。」



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