Gray short dream
□過去の超短編集
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修業時代
ぐつぐつと煮えたぎる鍋を前に、神田は口を開いた。
「…おい。」
「はい。ジャガイモが煮えたから、次はルゥを入れようね。」
「おっバー○ントじゃん!やっぱカレーつったら、これだよな!」
師匠であるティエドール元帥を初め、その場には同じ弟子であるデイシャやマリ、蓮華がいる。
「デイシャ。【隣人の鐘】でリフティングしていないで、少しは手伝え。」
「ゔぇえぇ…っこれ、すごい味が濃いぞ…!」
「蓮華。ルゥは素で、食べちゃだめだよ。ほら、お鍋の中に入れて。口を濯ぎなさい。」
「つまみ食いはするなと、言っただろう。」
「だって、お腹が空いたんだ。」
「怒られてんじゃん。」
「うっさい、デイシャ。ボールで遊んでばかりのくせに。」
「ボールじゃねぇし!野菜は洗ったじゃーん。つーか、神田は手伝ってもいないじゃん。なっ神田!」
「一度手を止めて、俺の言葉に耳を傾けろ。」
「何だ、神田。蕎麦が食いたいのか?」
「ちげぇよ。」
「豆腐食べたい。」
「駄目だよ。神田も蓮華も、食事が偏りすぎだ。もっとバランスよく食べなさい。特に肉類を。」
「大豆は畑のステーキだって、コムイが言ってました。」
「動物性タンパク質をとりなさいね。ほら、カレーは肉、野菜がバランスよく入ったおいしい料理だよ。
二人に足りないものがたくさん入ってるから、しっかり食べなさい。」
「だから聞けって。」