Gray short dream

□過去の超短編集
4ページ/67ページ


修業時代


ぐつぐつと煮えたぎる鍋を前に、神田は口を開いた。


「…おい。」


「はい。ジャガイモが煮えたから、次はルゥを入れようね。」


「おっバー○ントじゃん!やっぱカレーつったら、これだよな!」


師匠であるティエドール元帥を初め、その場には同じ弟子であるデイシャやマリ、蓮華がいる。


「デイシャ。【隣人の鐘】でリフティングしていないで、少しは手伝え。」


「ゔぇえぇ…っこれ、すごい味が濃いぞ…!」


「蓮華。ルゥは素で、食べちゃだめだよ。ほら、お鍋の中に入れて。口を濯ぎなさい。」


「つまみ食いはするなと、言っただろう。」


「だって、お腹が空いたんだ。」


「怒られてんじゃん。」


「うっさい、デイシャ。ボールで遊んでばかりのくせに。」


「ボールじゃねぇし!野菜は洗ったじゃーん。つーか、神田は手伝ってもいないじゃん。なっ神田!」


「一度手を止めて、俺の言葉に耳を傾けろ。」


「何だ、神田。蕎麦が食いたいのか?」


「ちげぇよ。」


「豆腐食べたい。」


「駄目だよ。神田も蓮華も、食事が偏りすぎだ。もっとバランスよく食べなさい。特に肉類を。」


「大豆は畑のステーキだって、コムイが言ってました。」


「動物性タンパク質をとりなさいね。ほら、カレーは肉、野菜がバランスよく入ったおいしい料理だよ。
二人に足りないものがたくさん入ってるから、しっかり食べなさい。」


「だから聞けって。」



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ