紅の死神

□紅の死神
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足元に書類が散乱した室長室で、任務を受けた神田は眉をひそめた。任務内容に目を通し、再度コムイを見る。


「死神だと‥?」


「そう。フランス中東部の森に、真っ赤な翼を生やした死神がいるという報告があったんだ。

今回の任務は、それについて調べてほしい。探索部隊との連絡が取れなくなってしまったんだ。

急いで向かってくれ。」


「わかった。」


早々に出発した神田は、列車内で改めて資料を読んだ。内容は以下の通りである。


【赤い翼を生やした死神は、近くの町の話によると約半年前から目撃されるようになった。
その後、森から行方不明者の持ち物などが発見され、町民が多数殺害されている模様。
目撃者の証言では、死神は大きな鎌を所持している。】


【赤い翼】と【大きな鎌】は、明らかに普通の人間ではない。奇怪現象というよりは、奇怪な事件だ。
本の中でしか登場しないような存在は、無関係な人間にとっては、冗談にしか聞こえないだろう。


「それで死神か…。AKUMAの可能性が高いな。」


今回の任務はAKUMAの破壊と探索部隊の救出で終わるのだろうと、目的地に到着した神田は、すぐに例の森へ向かった。

森の中は広く、木々が日の光を遮っているため昼間でも薄暗い。


「どこにいやがる…。」


エクソシストの自分がやって来れば、あちらから接触があるかと思っていた勘は外れる。
殺気も何も感じないため、探し回るしかないと神田は苛立ったように舌打ちをした。


(探索部隊は全滅か…?)


ありえなくはない。イノセンスを扱えない人間など、AKUMAにとっては赤子同然なのだから。

その時。やたら静かな森の中で、目の前の茂みから音がした。


「!」



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