紅の死神

□墓なしの村
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朝食後。室長室に呼び出された蓮華とアレンはコムイから資料を手渡される。


「今回は二人で行ってきてね。内容は資料をよく読むように。」


「わかった。」


アレンはふと、隣に座る蓮華の顔色が優れない事に気づく。


「大丈夫ですか…?顔色が良くないですよ?」


「問題ない。」


「…アレン君は先に地下水路へ行ってくれるかい?」


「?わかりました。」


アレンが室長室を出て行くと、椅子に座り直したコムイは真剣な眼差しを向ける。


「顔色が優れないのはどうしてかな?何か他に、変化があったのかい?」


「よく眠れないだけだ。」


「夢のせいだね…。あれから吐き気や頭痛は?」


「あの夢を見ない限りはない。」


「そう、でも十分な睡眠は大切だよ。ただでさえ君は、人よりも睡眠時間が短いんだから。」


さらさらとカルテにペンを走らせるコムイに、蓮華は素直に答える。
それは自分の為でもあり、コムイを信頼しているからだ。
資料を捲る蓮華は、その内容に顔をしかめる。


「…この任務は、アイツには向いていないと思うが?マテールの事もある。
今からでも、他の誰かに替えるべきだ。」


「神田君もリナリーも任務中だし、ラビは夜中に帰ってきたばかりだからね。」


「つまり、慣れるのも任務って事か?」


「そういう事だね。」


「…行ってきます。」


「いってらっしゃい。」


資料を閉じて立ち上がった蓮華は、コムイに挨拶して部屋を出た。

地下水路では、既にアレンと探索部隊のリッシュが舟に乗っている。


「待たせたな。」


蓮華はマントを纏って乗り込んだ。リッシュは四年前に、蓮華を発見した探索部隊。
語学力があり、複数の国の言葉を流暢に話す事が出来る。
久しぶりに組む事になった探索部隊に目を向ければ、リッシュはにっこりと笑った。


「お久しぶりです。蓮華さん。今回も宜しくお願いします。」


「ああ。よろしく。」


「では、出発しましょう。」



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