SF・ホラー・ファンタジー
□ウィディンゴ(※未完)
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数年前に内乱で滅んだこの村。
半分がわずか一年で塵と消えたこの国では、復興作業は行われるが一向に進まず、ここのような小さな村までは及ばない。
住人達は皆とうに村を出て行った、廃棄と化した村。
そこに、一組の男女がいた。
男は何とも凡庸で冴えない出て立ちなのに対し、女の方は若く、透き通るような白い肌と真っ赤な唇が印象的であった。
「さぁ、一緒に死のう?」
そう言って男は銃を取り出した。
「え……」
女は怪訝そうに少し眉根を寄せた。しかし彼はそんな事には気づかない。
「あぁ、一緒に。君を一人では逝かせられないよ」
彼は完全に彼女に魅せられていた…。
「僕が一緒について逝ってあげる」
「…貴方も、一緒に?」
「あぁ、君を愛しているから」
「そう…」
「二人で、逝こう?」
そう彼は優しく微笑むと、カウントを始める…。
「……3……2………1…」
――――パーン…――――
…辺りに銃声が響いた。
「ごめんなさい、私は貴方と逝きたかったわけではないの」
クチャクチャクチャ。
皮を裂き、肉を千切る音、音、音…。
クチャクチャクチャ。
皮を裂き、肉を千切る音、音、音…。
―――そうして、男は骨だけになった。
「骨は、どうしようかしら?」
それまで様子を見ていたカラス達がバサバサと飛んで行った。
どうやら肉塊の彼には興味があっても、骨だけになってしまうとどうでも良いらしい。